Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
症例 2

(S852)

脱出腸管に腸管重複症を認めた臍帯ヘルニアの一例

Prenatal sonographic features of enteric duplication cyst in cases with omphalocele

遠藤 豊英, 宮越 敬, 佐藤 佑, 秋葉 洋平, 大谷 利光, 正木 繭, 池ノ上 学, 落合 大吾, 松本 直, 田中 守

Toyohide ENDO, Kei MIYAKOSHI, Yu SATO, Yohei AKIBA, Toshimitsu OTANI, Mayu MASAKI, Satoru IKENOUE, Daigo OCHIAI, Tadashi MATSUMOTO, Mamoru TANAKA

慶應義塾大学医学部産婦人科

School of Medicine, Keio University

キーワード :

【緒言】
腸管重複症は消化管に隣接し平滑筋および消化管粘膜を有する管腔構造を呈する先天異常である.粘膜は高輝度を平滑筋は低輝度を示すため,壁の層構造は小児期に検出される腸管重複症の特徴像とされるが,胎児期の所見に関する報告は少ない.今回,我々は臍帯ヘルニア嚢内に拡張腸管を認め,出生後に腸管重複症と診断された一例を経験したので報告する.
【症例】
40歳,5妊3産.近医における妊娠中期超音波スクリーニングにて口唇裂が疑われ,妊娠24週6日時に当院胎児外来に紹介受診となった.初診時には,両側口唇裂,正中心および上大静脈遺残を認めた.経過観察中,妊娠29週時には臍帯ヘルニアを認め,ヘルニア嚢内には小腸に加え径3cmの管腔構造を認めた(超音波画像参照).管腔内部は中等度輝度かつ流動性を示し,高輝度を示す管腔壁に蠕動運動が観察されたことから,小腸の軽度狭窄疑いと胎内診断した.経過観察中,管腔壁は高輝度に肥厚して観察されたが,管腔構造のサイズおよび内部超音波像には著変なく,妊娠37週5日,男児経腟分娩に至った(2545g,Apgar score 7/8点[1/5分値]).臍帯ヘルニア内には回盲部口側20cm,肛門側10cmの腸管脱出を認め,一部には拡張を認めた.拡張部位には胎便を含み,病理組織検査にて隣接する小腸との連続性を有する腸管重複症と診断された.胎児超音波像を後方視的に検討したところ,胎内で観察された管腔構造が腸管重複症に相当すると考えられた
【結語】
本症例より胎児超音波による腸管重複症と正常腸管拡張像との鑑別は困難であることが再認識された.臍帯ヘルニアにおける腸管重複症の合併は極めて稀であるが,ヘルニア内の管腔構造の鑑別においては腸管重複症にも留意する必要があると考えられた.