Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
症例 2

(S850)

胎児期に巨大膀胱を認めMMIHSと類似したHirschsprung病の1症例

A case of Hirschsprung disease similar to Megacystis-Microcolpn-Intestinal Hypoperisistalsis Syndrome for giantic bladder in fetal diagnosis.

黒田 優美, 笠松 敦, 吉田 彩, 椹木 晋, 岡田 英孝

Yumi KURODA, Atsushi KASAMATSU, Aya YOSHIDA, Susumu SAWARAGI, Hidetaka OKADA

関西医科大学附属病院産婦人科

Obsterics and Gynecology, Kansai Medical University

キーワード :

【緒言】
胎児巨大膀胱の原因は,先天性後部尿道弁,閉塞性尿管瘤,Prune belly症候群などが挙げられる.今回,胎児期に巨大膀胱が指摘され,胎児小腸もMicrocolon状であったため,Megacystis-Microcolpn-Intestinal Hypoperisistalsis Syndrome(以下,MMIHS)も鑑別にあげたが,生後5ヶ月に病理学的診断でHirschsprung病と診断された症例について報告する.
【症例】
症例は37歳,2妊1産.自然妊娠にて妊娠成立し,前医にて管理されていた.妊娠28週時の健診にて腹部に5cm大の嚢胞を指摘され,妊娠30週3日に当院紹介受診となった.胎児超音波検査で胎児腹部嚢胞は巨大膀胱と診断し,腎盂拡大があったため妊娠30週4日に腎機能評価のため超音波ガイド下に膀胱穿刺を施行した.尿生化学的検査を提出し,腎機能に問題がないことを確認した.その後,胎児小腸画像でMicrocolon状であったため,MMIHSの可能性も考慮した.その後も羊水量や水腎症の程度を評価していたが,著変なく経過した.妊娠39週1日に出生となった.出生体重は3518g,男児.Apgar Score 1分値9点,5分値9点であり,外表奇形は認めなかった.児は巨大膀胱精査のため,NICUに入室となった.
NICU入室時の超音波検査では10*6*5cm大,心窩部まで認める巨大膀胱と両側水腎症(右SFU分類4°,左SFU分類3°)を認めた.腹部膨満改善目的にて尿道バルーンを膀胱内に留置,日齢1には虚脱した膀胱を確認,腎盂拡大も改善傾向であった.
日齢0からミルクの経口摂取を開始したが,哺乳困難であったため,日齢1より経鼻胃管および中心静脈栄養での管理とした.注腸造影検査を施行したところ,蠕動は乏しく鉛管状であったが,Microcolonはなかったために,徐々にミルク量を増加させる方針となった.日齢11にはミルクの経口摂取のみとなり,その後排便コントロール良好となり,日齢35に退院となった.
退院後,刺激や浣腸にて排便するため特に精査は行わず経過観察していた.生後5ヶ月に排便回数の減少を認めたために,再度注腸造影検査を施行した.その際,鉛管状,Microcolonを認めたために,生検したところ,粘膜筋板および粘膜下層にはS-100陽性のSchwann細胞に加え神経節細胞が確認されたが,Calretinin陽性細胞は認めず,また粘膜下層にはアセチルコリンエステラーゼ陽性のthick nerve fibersが観察されたため,Hirschsprung病の診断となった.生後9ヶ月に腹腔鏡補助下にてS状結腸プルスルー(pull-through)術を施行し,術後経過良好にて現在は外来管理中である.
【考察】
本症例は胎児期より巨大膀胱を認めた.妊娠28週で指摘されたが,膀胱穿刺を行い,尿生化学検査にて腎機能を評価したこと,また羊水過少や水腎症の増悪を認めなかったため正期産まで妊娠継続が可能であった.また,出生後も水腎症は認めたが腎障害を認めず,自尿可能であった.胎児期に両側水腎症および羊水過少を認めた際の娩出時期の決定は一定ではないが,胎児腎機能障害を認めない際には妊娠継続は可能であると言える.
胎児期の巨大膀胱および,出生後に哺乳困難や腸蠕動の低下を認めていたためにMMIHSも考慮していたが,生検にてHirshsprung病の診断となった.
Hirshsprung病や類縁疾患では腸蠕動障害のみならず,排尿障害のため巨大膀胱を示すことがあると言われている.しかし,腸蠕動障害と排尿障害を同時に伴う疾患の際には羊水量のみでの評価は困難となることがあるため,巨大膀胱をきたす症例では本疾患も念頭に置いた管理が必要と言える.
【結論】
Hirshsprung病や類縁疾患では胎児期に巨大膀胱をきたすことがあり,慎重な管理が必要である.