Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
症例 2

(S849)

胎児期の画像検査でVACTERL連合を疑った一例

A case of suggested VACTERL association of fetal images examination

河西 貞智, 鷹野 真由実, 佐久間 淳也, 長﨑 澄人, 梅村 なほみ, 中田 雅彦, 森田 峰人

Sadanori KASAI, Mayumi TAKANO, Junya SAKUMA, Sumito NAGASAKI, Nahomi UMEMURA, Masahiko NAKATA, Mineto MORITA

1東邦大学医療センター大森病院産婦人科, 2東邦大学大学院医学研究科産科婦人科学講座

1Obstetrics and Gynecology, Toho University Medical Center Omori Hospital, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Graduate School of Medical Science, Toho University

キーワード :

【緒言】
VACTERL連合は脊椎異常(V:vertrbral defect),肛門奇形(A:anal atresia),先天性心奇形(C:cardiac malformations),気管食道瘻(T,E:tracheoesophageal fistula with esophageal atresia),腎臓異常(R:renal dysplasia),橈骨の異常(R:radial dysplasia),四肢異常(L:limb anomaly)という徴候のち3つ以上を認める場合に診断されることが多い.今回我々は胎児期の超音波検査および3DCT検査でVACTERL連合を疑い妊娠管理を施行した一例を経験したので報告する.
【症例】
30歳,1妊0産,自然妊娠.既往歴・家族歴に特記すべきことなし.前医で妊娠27週に初めて胎児奇形及び羊水過多を指摘された.妊娠27週に前期破水の診断で,精査加療目的に当院に母体搬送となった.初診時の超音波検査では,推定体重は950g(−0.91SD),脊椎の変形,右橈骨の欠損,手足関節の変形,単一臍帯動脈を認め,3D超音波検査で脊椎の多分節と著名な湾曲を認めたが,前期破水による羊水過少により観察は困難であった.VACTERL連合を念頭にMRI検査および3D–CT検査を施行したところ,MRIにより胎児の肺低形成が疑われ,3D–CT検査でVACTERL連合に認められる骨格異常が確認された.入院後は塩酸リトドリン,硫酸マグネシウムおよびCa拮抗薬で切迫早産管理を行なったが,妊娠30週2日に子宮収縮抑制困難となり,また,胎児機能不全を合併したため緊急帝王切開術を施行した.
児は女児,体重1195g,Apgarスコアは1/1点(1/5分値)であり,脊椎形成不全,鎖肛,単一臍帯動脈,食道閉鎖症C型,橈骨異常,内反足,肺低形成を認めた.出生後,直ちに気管挿管による蘇生を行った後,NICUに入院となった.入院後も呼吸・循環不全は継続し,昇圧剤投与等の集中治療を行うも反応せず,翌日死亡に至った.
【結語】
本症例は胎児期の超音波検査およびMRI,3DCT検査でVACTERL連合に特徴的な所見を多数呈しており,診断に有用であった.出生前に得られた情報により,両親への診療方針に関するカウンセリングを十分行うことができ,出生後の児の急変にも対応できた.本症例において,3D 超音波検査は脊椎の変形を容易に指摘することができ,また,胎児期のMRIやCT検査によって情報の補完が有用であった.