宮島 真治, 星 智子, 梶村 幸三, 藤澤 一朗, 稲本 道

Shinji MIYAJIMA, Tomoko HOSHI, Kozo KAJIMURA, Ichiro FUJISAWA, Osamu INAMOTO

¹市立岸和田市民病院消化器内科, ²市立岸和田市民病院放射線科, ³市立岸和田市民病院外科

¹gastroenterology, Kishiwada municipal hospital, ²radiology, Kishiwada municipal hospital, ³surgery, Kishiwada municipal hospital

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症例は46歳女性．右卵巣癌にて右卵巣，虫垂合併切除の既往あり．某年7月に数ヶ月前から持続する上腹部違和感の精査希望にて当科を受診された．上部消化管内視鏡では特記所見なし．腹部超音波にて腹腔動脈起始部の拡張を認めた．造影CTにて腹腔動脈の腹側からの圧排，狭窄，その末梢側の拡張を認め正中弓状靱帯圧迫症候群が疑われた．下部消化管内視鏡，心臓超音波検査にて特記所見を認めず他に症状を説明する器質的疾患は指摘できなかった．患者の希望も踏まえ同年8月当院外科にて手術施行．正中弓状靱帯を切離し腹腔動脈の圧迫を解除した．術後経過は順調．同年11月には自覚症状の消失を認めている．
　正中弓状靱帯圧迫症候群は正中弓状靭帯の肥大によるceliac arteryの神経叢の圧迫が病態とされ食後の上腹部痛，悪心，嘔吐などの症状を呈しうる．腹部CTで発見されることが多いが，今回腹部超音波を契機に診断された貴重な症例と考え，文献的考察を踏まえ報告する．