Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 消化器
胆道/膵臓/症例

(S835)

腫瘍栓落下による閉塞性黄疸を契機に診断された胆嚢乳頭腺癌・小細胞癌混在の1例

A case of papillary adenocarcinoma and small cell carcinoma of the gall bladder

関口 諒, 岸 和弘, 荒川 悠祐, 藤崎 由紀子, 藤中 ちひろ, 福良 歌奈恵, 岸 史子, 三宅 秀則, 清久 泰司

Ryo SEKIGUCHI, Kazuhiro KISHI, Yusuke ARAKAWA, Yukiko FUJISAKI, Chihiro FUJINAKA, Kanae FUKURA, Fumiko KISHI, Hidenori MIYAKE, Yasushi KIYOKU

1徳島市民病院内科, 2徳島市民病院外科, 3徳島市民病院臨床検査科

1Department of Internal Medicine, Tokushima Municipal Hospital, 2Department of Surgery, Tokushima Municipal Hospital, 3Department of Clinical Laboratory, Tokushima Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
胆嚢小細胞癌は非常に稀であり,報告例も少ないが,進行が早く予後不良といわれている.超音波画像の観点からも興味深いが,腫瘍増殖が速いため腫瘍栓を形成し,腫瘍栓の胆管内落下による閉塞性黄疸を契機に胆嚢乳頭腺癌・小細胞癌の混在癌の診断に至った1例を経験したので報告する.
【症例】
73歳,男性.
【主訴】
背部痛
【現病歴】
数日前から背部痛が出現し,近医受診したところ,採血にて肝機能障害(AST 1347 U/L,ALT 954 U/L,T-Bil 4.3 mg/dl)を指摘され,紹介受診となる.
【経過】
腹部CTでは胆嚢体部に限局性の造影効果を伴う壁肥厚及び内腔に突出する腫瘍を認めた.腹部エコー,超音波内視鏡検査では総胆管に近い胆嚢管から胆嚢頸部にかけて内腔を充満する等エコーの不均一な隆起性病変として認められた.充実成分内部はドップラーにてほとんど血流シグナルは認めなかった.体部周辺の充実性腫瘤は不均一な高エコーの乳頭状腫瘤に見えた.胆管精査のため施行したMRCPでは胆管内に小さな無信号を認め,ERCPを施行したところ,胆管内に陰影欠損を確認,内視鏡下に摘出を試みたが,操作中に陰影欠損は消失し,自然排出されたと判断した.胆嚢内の病変は悪性疾患の可能性が高く,開腹手術を行った.胆嚢体部から発生した隆起性病変を認め,また腫瘍から連続するように,腫瘍栓を認め,胆嚢体部から頚部に充満していた.迅速病理検査で腺癌の診断であったため,肝S4a5切除及びリンパ節郭清を追加で行った.術後病理診断では胆嚢乳頭腺癌と小細胞癌のんが混在しており,肝臓に小細胞癌が浸潤していた(T3aN1M0,pStageⅢB).小細胞癌部分はsynaptophysin,CD56陽性,chromogranin Aが弱陽性,CK7は陰性,乳頭腺癌部分はその逆であった.
【考察】
胆嚢内の充実性腫瘤は体部発生の胆嚢乳頭腺癌・小細胞癌の混在癌で増殖・壊死を繰り返し,腫瘍先端部がフィブリンや凝血塊として増大してきたと考えられた.腫瘍根部のviableな癌が不均一な高エコーの乳頭部腫瘍として認識され,等エコー領域はviableでない腫瘤であった.また閉塞性黄疸は腫瘍栓の一部が胆管内に落下し,閉塞機転を生じたものと推察された.胆嚢小細胞癌は非常に稀であり,文献的考察も加え報告したい.