Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 消化器
胆道/膵臓/症例

(S834)

急性胆石性胆嚢炎による胆嚢壁穿孔部が腹部超音波検査にて指摘できた2例

Two patients who were able to point out a gallbladder wall perforation department due to the acute gallstones-related cholecystitis by ultrasonography

福井 智一, 高田 晃男, 内田 祐介, 峰松 峰佳, 徳重 貴彦, 衛藤 大明, 谷川 健, 菰原 保幸, 平城 守

Tomokazu FUKUI, Akio TAKATA, Yusuke UCHIDA, Mineka MINEMATSU, Takahiko TOKUSHIGE, Daimei ETOU, Ken TANIGAWA, Yasuyuki KOMOHARA, Mamoru HIRAKI

1公立八女総合病院臨床検査科, 2朝倉医師会病院消化器内科, 3公立八女総合病院消化器内科, 4公立八女総合病院外科, 5公立八女総合病院病理診断科, 6公立八女総合病院放射線診断科

1yame general hospital, 2asakura medical association hospital, 3yame general hospital, 4yame general hospital, 5yame general hospital, 6yame general hospital

キーワード :

【はじめに】
急性胆嚢炎における胆嚢穿孔の割合は3.3%で,重症例の死亡率は21.4%と報告されている(急性胆管炎,胆嚢炎診療ガイドライン2013より).また穿孔部の描出能は超音波検査(以下US)は70%,CTは78%とされている.今回我々は腹部USにて穿孔部及びそれに連続する肝膿瘍を描出でき,うち1例は胆嚢内と肝膿瘍の間を,充実エコーが行き来する所見を描出できた症例を経験したので報告する.
【症例1】
90歳女性.他院で認知症にて入院中に発熱,嘔吐生じ,当院に搬送され腹部US施行.胆嚢は腫大,緊満し,胆嚢内部には充実エコーが充満し,胆嚢周囲には腹水貯留を認めた.また,胆嚢体部肝床部には胆嚢壁の断裂像を認め,同部位から肝内に連続する40mm大の,肝膿瘍を疑う低エコー域を認めた.その低エコー域と胆嚢内部の充実エコーはto and fro様に流動性を認め,急性胆嚢炎に伴う穿孔及び肝膿瘍と診断した(動画あり).手術目的で他院へ緊急搬送し,施行された造影CTでも,急性胆石性胆嚢炎及び肝膿瘍の診断であった.一方で,造影CTでは撮影のタイミング不良とスライス幅の影響もあり,穿孔の診断には至らなかった.超高齢で認知症や多くの併存疾患もあり,保存的加療で経過観察されたが,改善傾向になり療養型病院へ転院となった.
【症例2】
78歳男性.1ヶ月前に急性胆石性胆嚢炎を生じ,当院にてPTGBD施行.右季肋部痛改善し,約3週間後に退院した.退院12日後に再度右季肋部痛生じ,当院に緊急搬送され,腹部US施行.胆嚢は萎縮し,頚部に小さな胆石を疑う高輝度エコー像を認めた.胆嚢体底部肝床部には胆嚢壁の断裂像を認め,肝内に連続する70mm大の肝膿瘍を疑う低エコー域を認めた.また,門脈内を求肝性に移動する高輝度点状エコー像を認め,門脈ガス血症と考えた(動画あり).造影CTでも急性胆石性胆嚢炎及び肝膿瘍と診断され,胆嚢壁が断裂した穿孔部位を確認できた.開腹胆嚢摘出術を施行し,術後の経過は良好であり退院となった.
【考察】
今回の2症例は腹部USで,穿孔部と穿孔部に連続する肝膿瘍をリアルタイムに観察でき,胆嚢壁穿孔の早期診断に有用であった.また症例1では腹部USにて,胆嚢内と膿瘍部で充実エコーがto and fro様に流動する所見をリアルタイムに観察できており,撮影のタイミングやスライス幅で描出不良となるCTと比べ有用であった.
【結語】
急性胆嚢炎に合併した胆嚢穿孔及び肝膿瘍の診断に腹部USは有用であった.