Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 循環器
血栓・腫瘍

(S816)

心不全治療薬導入後,急性増悪を来たし左室内血栓を生じたHFrEFの1例

Apical Thrombus After Initiation of Drug Therapy in Heart Failure with Reduced Ejection Fraction: A Case Report

森 智美, 岡田 昌子, 江田 優子, 福井 智大, 小笠原 延行, 長谷川 新治

Tomomi MORI, Masako OKADA, Yuuko EDA, Tomohiro FUKUI, Nobuyuki OGASAWARA, Shinji HASEGAWA

1JCHO大阪病院中央検査室, 2JCHO大阪病院臨床検査科, 3JCHO大阪病院循環器内科

1Central Laboratory, Japan Community Health care Organization Osaka Hospital, 2Department of Clinical Laboratory, Japan Community Health care Organization Osaka Hospital, 3Department of Cardiology, Japan Community Health care Organization Osaka Hospital

キーワード :

アルコール性肝障害,HCV抗体陽性,慢性胃炎にて当院通院中の50歳代の男性.検診にて心電図異常を指摘され,当院循環器内科を初診し,心尖部を中心とした高度収縮能低下(左室駆出率28%)並びに左室内腔拡大所見を認めた.冠動脈CTにて有意狭窄を認めず,左室収縮性が低下した心不全 (HFrEF)として外来にてACE阻害薬(Perindopril),β遮断薬(Carvedilol)を導入された.初診から2ヶ月後に心不全症状が増悪し,レントゲン上も心胸郭比拡大し,両側胸水が増量した.入院を勧めるも多忙により一旦帰宅.ループ利尿薬,抗アルドステロン薬(Eplerenone 50mg), カルシウムチャネル拮抗薬(Amlodipine 5.0 mg)を追加投与した.4日後,心不全精査目的にて入院の運びとなった.入院中,原因精査目的で心筋生検が予定されていたが,左室造影にて心尖部に欠損像を認め,左室内血栓の存在が疑われ,心筋生検は中止となった.同日の心エコーでも心尖部に22×16 mmの腫瘤性病変を認め,心尖部の壁在血栓が疑われた.その後抗凝固薬により左室内腫瘤像は消失したが,原因精査を継続中である.β遮断薬導入後,心不全急性増悪に対して処方された利尿薬により脱水となり,血液が濃縮しやすく,心尖部血栓を生じやすい状態に陥ったのではないかと推察された.特にHFrEFの症例において心不全治療初期や投薬変更時は,左室内血栓などの合併症が生じることも予想されるため,心エコーによる詳細な観察の必要性が示唆された.