Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 循環器
心筋症その他

(S814)

高安動脈炎に高度大動脈弁逆流を合併し拡張末期の大動脈弁開放を認めた1例

A patient with severe aortic regurgitation caused by Takayasu’s arteritis showing end-diastolic opening of aortic valve

村山 迪史, 岩野 弘幸, 山田 聡, 西野 久雄, 横山 しのぶ, 中鉢 雅大, 市川 綾子, 西田 睦, 澁谷 斉, 安斉 俊之

Michito MURAYAMA, Hiroyuki IWANO, Satoshi YAMADA, Hisao NISHINO, Shinobu YOKOYAMA, Masahiro NAKABACHI, Ayako ICHIKAWA, Mutumi NISHIDA, Hitoshi SIBUYA, Toshihisa ANZAI

1北海道大学病院超音波センター, 2北海道大学大学院循環病態内科学

1Diagnostic Center for Sonography, Hokkaido University Hospital, 2Department of Cardiovascular Medicine, Faculty of Medicine and Graduate School of Medicine, Hokkaido University

キーワード :

症例は40代の男性.10か月前に労作時息切れを自覚して近医を受診し,肺うっ血とともに大動脈弁逆流(AR)と炎症反応高値が指摘された.利尿薬による治療が開始されたが心不全の増悪を繰り返し,ARの手術適応を検討するために当院へ紹介された.血圧は104/45 mmHg,脈拍数は100回/分であり,大脈と速脈が認められた.発熱はなかったがCRPは9.43 mg/dLと高値であった.
心エコー検査では,左室は拡張末期径61 mmと拡大していたが,駆出率は66 %と保たれていた.大動脈弁尖に器質的異常はみられなかったが,バルサルバ洞から上行大動脈の拡大に伴う弁尖のtetheringにより高度ARが生じており(El Khoury分類タイプⅠb),大動脈弁には拡張末期に開放が認められた(図A,矢印).三尖弁逆流から推定した肺動脈収縮期圧は55 mmHg,肺動脈弁逆流から推定した平均肺動脈圧は37 mmHg,肺動脈拡張期圧は23 mmHgで,比較的高度な肺高血圧の所見であった.肺静脈血流速波形に深くて持続時間の長い逆行性A波がみられたが,左室流入血流速波形にA波を認めず,拡張期に僧帽弁逆流を認めた.さらに,ARの連続波ドプラ波形は,拡張早期から中期の圧半減時間の著しい短縮(174 ms,図Bのa)と拡張末期の急峻な減速(図Bのb)を示しており,カラードプラによる観察では,ARは拡張末期に消失していた.これらの心エコー所見はすべてARによる左室拡張末期圧の異常な上昇を示唆し,大動脈弁にみられた拡張末期の開放は,その結果として左室拡張末期圧が体血圧とほぼ同程度まで上昇して生じたものと考えられた.
炎症反応持続陽性の原因検索を行ったところ,HLA-B52陽性とともに上行大動脈と弓部3分枝の動脈壁に肥厚が認められて高安動脈炎と診断され,ステロイド治療による炎症鎮静化を手術に先行させる方針となった.
右心系の障害に伴う拡張期の肺動脈弁開放に関する報告は散見されるが,ARで大動脈弁開放を観察した報告はなく,きわめて稀な病態と考えられた.