Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 循環器
心筋症その他

(S813)

当院で経験した周産期心筋症の3症例

Three cases of Peripartum Cardiomiopathy in our institute

東 彩子, 小林 さゆき, 林 亜紀子, 虎溪 瑞穂, 江口 美知子, 酒井 良彦, 小俣 諭子, 澤 朋良, 佐々木 伸二, 小沼 善明

Ayako HIGASHI, Sayuki KOBAYASHI, Akiko HAYASHI, Mizuho TORATANI, Michiko EGUCHI, Yoshihiko SAKAI, Satoko OMATA, Tomomi SAWA, Shinji SASAKI, Yoshiaki KONUMA

1獨協医科大学埼玉医療センター循環器内科, 2獨協医科大学埼玉医療センター超音波センター, 3獨協医科大学埼玉医療センター臨床検査部

1Department of Cardiology, Dokkyo Medical University Saitama Medical Center, 2Center of Medical Ultrasonics, Dokkyo Medical University Saitama Medical Center, 3Clinical laboratory, Dokkyo Medical University Saitama Medical Center

キーワード :

はじめに
周産期心筋症とは,心疾患の既往のない女性が妊娠,出産に際し拡張型心筋症に類似する心エコー所見を呈し,心不全を発症する疾患である. 今回我々は当院にて経験した周産期心筋症の3症例を報告する.
症例1
29歳女性. 双胎妊娠にて当院産婦人科に通院していたが,妊娠中毒症を認めたため帝王切開にて出産. 出産後同日呼吸困難が出現し,心不全にて循環器内科転科. 人工呼吸器管理となった. 経胸壁心エコー図ではLVDd 52mm,LVDs 56mm,LVEF 0.24と心拡大及びびまん性の高度左室壁運動低下を認めた. 利尿剤等の加療を行い退院に至るも,心機能の正常化には2年を要し,11年経った現在も外来にて内服加療を継続している.
症例2
33歳女性. 単体妊娠8ヶ月より息切れ,咳嗽,下腿浮腫を認めていたが,正常分娩にて出産. 出産4日目より呼吸困難が出現し心不全の疑いで当院搬送となった. 入院時経胸壁心エコー図ではLVDd 52mm,LVDS 39mm,LVEF 0.49と心拡大及びびまん性の軽度左室壁運動の低下がみられた. また左室心尖部に約2cmの血栓を認めたため心不全加療と同時に抗凝固療法を開始した. 血栓は2週間で消失し,心機能も1ヶ月後にはほぼ正常化した. 現在発症3年目だが外来にて内服加療中である.
症例3
22歳女性. 妊娠高血圧症により近医産婦人科に通院にていたが,妊娠9ヶ月目に呼吸困難を訴え当院に搬送. 緊急帝王切開術を施行されたが,心不全を認めたため循環器内科にて加療を開始した. 経胸壁心エコー図ではLVDd 57mm,LVDs 49mm,LVEF 0.28と心拡大及びびまん性の高度左室壁運動の低下を認めた. 心機能は1ヶ月後より改善がみられ,現在発症6ヶ月目となるが心機能は正常化し,外来にて内服加療を継続している.
まとめ
周産期心筋症は発症時心不全を呈し,約半数は心機能低下が改善するが,半数は残存すると言われている. 当院で経験した各症例も様々な経過をたどり,貴重な症例と考え報告する.