Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 循環器
その他 1

(S805)

アキレス腱エコーの臨床的有用性についての検討

A study on clinical usefulness of Achilles Tendon Ultrasonography

安永 元樹, 習田 龍, 安村 圭介, 田中 彰博, 森 直己, 中村 大輔, 矢野 正道, 江神 康之, 西野 雅巳, 田内 潤

Motoki YASUNAGA, Ryu SYUTTA, Keisuke YASUMURA, Akihiro TANAKA, Naoki MORI, Daisuke NAKAMURA, Masamichi YANO, Yasuyuki EGAMI, Masami NISHINO, Jun TANOUCHI

大阪労災病院循環器内科

Osaka rousai hospital

キーワード :

【背景】
家族性高コレステロール血症(FH)は先天性のLDLコレステロール増加により動脈硬化が進行し,心筋梗塞や狭心症を若年発症する傾向にあり,早期診断,早期介入が望まれる.しかし,FHの診断基準の一つに挙げられるアキレス腱(AT)肥厚は,X線にて最も厚い部分が9mm以上とされているが,実際のX線撮影では不明瞭な場合もあり測定誤差が生じやすく,被曝の問題もある.これに対し,超音波検査は被曝の問題もなく非侵襲的でベッドサイドでも容易に評価することが可能である.更に,X線ではAT測定において厚さしか測定することはできないが,超音波検査では厚さに加えて幅も測定でき,より詳細に,かつ正確にAT肥厚の評価ができると考えられる.
【目的】
AT肥厚におけるX線検査と超音波検査との相関について検討し,超音波検査でのAT肥厚評価の妥当性を評価した.
【対象】
2016年10月から2017年9月に,経皮的冠動脈形成術を施行し,同時期にAT肥厚の評価のため,超音波検査およびX線を施行した連続50例.
方法:ATのX線撮影でATの厚さ(X-AT-T)を測定し(図左),超音波検査で測定したATの厚さ(U-AT-T)およびATの幅(U-AT-W)(図右)と比較した.また,超音波検査のU-AT-TとU-AT-Wの相関も検討した.
【結果】
X-AT-TとU-AT-Tは良好な相関を示した(Y=0.75X-0.34, r=0.92, p<0.0001).更にX-AT-TとU-AT-Wも有意な相関を示した(Y=0.71X+9.60, r=0.74, p=0.0005).また超音波検査の両指標,U-AT-TとU-AT-Wも有意な相関を示したが一部,値に解離があるものも認められた(Y=0.89X+10.2, r=0.76, p=0.0002).本症例の中でFHは5例で,X-AT-T,U-AT-T,U-AT-Wすべてで9mmを超えていた.
【結論】
AT肥厚はコレステロール沈着の指標であり,FHの早期診断だけでなく重症脂質異常症の早期発見にも繋がる可能性がある.健康診断で全例,ATのX線撮影をすることは被曝の問題などで推奨できないが,超音波検査は被曝の心配もなく非侵襲的で,健診などでも使用可能と考えられる.本研究の結果より,AT肥厚の評価において超音波検査はX線検査の代替可能と考えられ,更にAT肥厚を厚さだけでなく幅からも多面的に評価できるので更なるFH早期発見に繋がる可能性も示唆された.今後はX線でなく,超音波検査におけるAT肥厚の基準値の設定などの検討も必要かもしれない.