Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 循環器
弁膜症

(S799)

透析用シャントを閉鎖することで劇的な僧帽弁閉鎖不全症の改善が得られた一例

A case where improvement of dramatic mitral regurgitation was obtained by closing dialysis shunt

羽渓 優, 田中 秀和, 須藤 麻貴子, 向井 淳, 曽我 文隆, 高田 裕基, 畑澤 圭子, 松添 弘樹, 松本 賢介, 平田 健一

Yutaka HATANI, Hidekazu TANAKA, Makiko SUTO, Jun MUKAI, Fumitaka SOGA, Yuuki TAKADA, Keiko HATAZAWA, Hiroki MATSUZOE, Kensuke MATSUMOTO, Ken-Ichi HIRATA

神戸大学医学部附属病院循環器内科学講座

Internal Medicine, Kobe University Graduate School of Medicine, Cardiovascular Medicine

キーワード :

【症例】
63歳の女性.慢性糸球体腎炎で透析加療をされており,2011年に生体腎移植が施行されている.
【病歴】
2015年中旬より時折動悸を認めていたが,自己判断で経過観察されていた.2016年2月に定期の移植生検目的で当院泌尿器科に入院した際に施行した心電図,心エコー図検査で心房細動および重症僧帽弁閉鎖不全症(MR),重症三尖弁閉鎖不全症(TR)を指摘された.MR,TRの主原因は弁輪拡大であった.心不全症状も認めていたため,精査加療目的で当院循環器内科に転科となった.利尿剤による心不全加療と心保護薬導入したことでMRは中等度程度まで改善し,脳性ナトリウムペプチド(BNP)は入院時の465pg/mLから200pg/mLにまで改善した.その後外来フォローとなり,洞調律化が得られたが,心エコー図検査では依然中等度のMRが残存しており,BNPのさらなる低下も認められなかった.そこで泌尿器科と相談し,使用していない透析用シャントを心負荷軽減目的で結紮することにした.透析用シャント結紮後,1ヶ月後の心エコー図検査ではMRは軽度まで改善し,BNPも著明に低下した.
【結語】
シャントと心機能には密接な関係が報告されている.本症例は透析シャントの結紮という患者の病態に合わせた治療法により,MRの劇的な改善が得られた一例であった.