Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般ポスター 基礎
超音波計測一般

(S794)

関節リウマチ(RA)治療における関節超音波検査の有用性について

Clinical utilitiy of Musculoskeletal ultrasonography in patients with rheumatoid arthritis

新村 奈津美, 影山 みなこ, 谷高 由利子, 直田 健太郎, 宮本 俊明

Natsumi SHIMMURA, Minako KAGEYAMA, Yuriko YATAKA, Kentaro NAODA, Toshiaki MIYAMOTO

1聖隷浜松病院臨床検査部, 2聖隷浜松病院膠原病リウマチ内科

1Clinical Laboratories, Seirei Hamamatsu General Hospital, 2Rheumatology, Seirei Hamamatsu General Hospital

キーワード :

【背景】
アメリカリウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)の関節リウマチ(RA)分類基準2010において,関節超音波も明記されるようになり,早期診断ならびに他の疾患との鑑別を含め,実臨床の場で広く施行されている.また治療過程においても,活動性滑膜炎の残存の有無精査目的で,関節超音波検査を施行することも多い.しかし,実臨床下で治療強化の決定要因は様々であり,超音波検査結果がどの程度治療に反映しているかに関する報告は乏しい.今回関節超音波検査結果がどの程度その後の治療方針に影響を与えているかを調べるために,当科症例に対しての後ろ向きコホート研究を行った.
【方法】
2015年1月から2016年12月までの間に,RA患者において,活動性滑膜炎残存の有無を判断するために関節超音波検査を施行した49例を解析対象とした.なお,関節エコーは検査技師が担当,関節超音波撮像法ガイドライン(2010年2月)に準じ,滑膜肥厚半定量スコア(GS),滑膜血流シグナル半定量スコア(PD)により滑膜炎を評価,最も強い部位でgrade分類した(0-3).その結果を受けて,治療内容の変更があるかを過去カルテから収集した.超音波検査実施時の年齢,性別,メトトレキサート(MTX)使用の有無,生物学製剤使用の有無を共変量とし,治療強化に結びつく検査結果の多変量Odds比と95%信頼区間:Confidence.Interval(CI)を推定した.
【結果】
49例のうち,治療強化症例は20例(41%),強化なし症例は29例(59%)であった.治療強化に結びつくGSの多変量オッズ比は,GS0・2・3でそれぞれ 0.12(0.01-1.57),10.3(1.33-79.90),10.1(0.85-119.00)であった(レファランス:GS1).また,PD0・2・3の多変量オッズ比はそれぞれ0.06(0.01-0.67),1.26(0.21-7.54),7.87(0.60-103.00)であった(レファランス:PD1).
【結論】
活動性の滑膜炎が残存するかを判断するために関節超音波検査を施行した症例において,その検査結果はその後の治療強化決定に明らかに影響を与えていたと言える.