英文誌(2004-)
一般口演 その他
頭頸部
(S787)
頭頸部皮膚悪性腫瘍7例の超音波所見
Ultrasonograpyic findings in the malignant skin lesions of head and neck
佐次田 保徳
Yasunori SASHIDA
沖縄県立北部病院形成外科
Department of Plastic Surgery, Okinawa Hokubu Prefectural Hospital
キーワード :
表在の超音波検査装置の改良は目覚ましく,皮膚病変への適応も散見される.今回我々は,頭頸部領域の皮膚悪性腫瘍7例の超音波所見の検討を行った.症例は37歳から88歳,男性6人,女性1人で,全例病理診断を得ている.診断の内訳は,基底細胞癌3例,頭皮原発嚢胞性腺癌1例,皮膚繊維肉腫1例,腎臓癌頭皮転移1例,上顎癌の皮膚浸潤1例であった.長径8.8mmから50mmの大きさであった.内部エコーは全例で低輝度であった.境界は全例で明瞭であったが,上眼瞼基底細胞癌,鼻部基底細胞癌,頭皮嚢胞性腺癌,腎癌頭皮転移の4例で平滑,頭皮基底細胞癌,頭皮線維肉腫,上顎癌浸潤の3例で粗となっていた.線維肉腫,上顎癌浸潤の2例で,腫瘍内血流信号の増大を示した.悪性腫瘍となると取り扱いが良性に比べてより煩雑で,時に拡大切除を要し,転移を念頭に置いた加療も必要となり,また,化学療法を優先させる必要も出てくることがある.全例で示されたように,低輝度であることは悪性腫瘍の特徴の一つであり,また,超音波検査による腫瘍の大きさと存在部位の診断,内部エコー,境界の状態,血流信号の把握は大きな手掛かりとなる.頭皮基底細胞癌の1例は,脂漏性角化症の診断にて他院皮膚科から紹介されてきたが,厚みと形状を超音波により把握し,悪性腫瘍の可能性を念頭に置いた取り扱いが初療から行えた.しかし,超音波単独で,悪性の診断は難しいことも多く,他の画像検査や生検を必要とすることも多い.