Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 その他
頭頸部

(S786)

頭頸部手術における術中経口超音波検査の有用性

The effectiveness of intraoperative transoral ultrasound in Head and Neck surgery

堂西 亮平, 福原 隆宏, 松田 枝里子, 小山 哲史, 藤原 和典, 竹内 裕美

Ryohei DONISHI, Takahiro FUKUHARA, Eriko MATSUDA, Satoshi KOYAMA, Kazunori FUJIWARA, Hiromi TAKEUCHI

鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野

Department of Otolaryngology:Head and Neck surgery, Tottori University Faculty of Medicine

キーワード :

従来の頭頸部癌に対する根治治療は,外切開による拡大切除であったが,音声喪失や嚥下機能の低下は不可避であった.これに対して形態温存を目的とした化学放射線治療が広く行われるようになったが,形態は温存されたとしても,嚥下機能をはじめとした機能温存は十分ではなく,問題となっている.一方,近年では内視鏡技術の発展や手術機器の開発により,経口的な縮小手術が積極的におこなわれるようになってきた.経口手術は拡大切除や化学放射線治療と比較して侵襲が少なく,術後の機能温存が期待されている.しかし,経口手術では手技や解剖構造に習熟していない術者にとっては,解剖構造が複雑でその把握が困難であるために,深部方向の切除マージンの決定が難しいという問題がある.これらの問題を解消するため,当院では2016年4月以降,日立アロカメディカル社製の腹腔鏡下用プローブL43Kを用いた術中経口超音波検査を併施している.2016年4月から2017年12月の間に16例に対して術中経口超音波検査を施行した.原発部位は中咽頭癌:6例,下咽頭癌:7例,舌癌:2例,口腔癌1例であった.TstageはTis:1例,T1:11例,T2:4例であった.描出が不可能であった症例は3例であり,厚みが0.8mmを超える症例についてはいずれも腫瘍の描出が可能であった.深部断端が陽性となった症例は2例であり,術後照射が必要であった.いずれも下咽頭癌の症例で病変は輪状後部にかかる腫瘍であった.すべての症例で断端再発なく経過している.頭頸部癌に対する経口手術における術中経口超音波検査の有用性について報告する.