Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 その他
健診

(S782)

腹部超音波スクリーニング検査における基準断面導入による教育効果

The effect of the education by standardization of abdomen ultrasonography

小川 眞広, 石田 秀明, 長沼 裕子, 小島 高子, 韮澤 澄恵, 三浦 隆生, 松本 直樹, 中河原 浩史, 山本 敏樹, 森山 光彦

Masahiro OGAWA, Hideaki ISHIDA, Hiroko NAGANUMA, Takako KOJIMA, Sumie NIRASAWA, Takao MIURA, Naoki MATSUMOTO, Hiroshi NAKAGAWARA, Yoshiki YAMAMOTO, Mitsuhiko MORIYAMA

1日本大学病院消化器内科, 2日本大学病院臨床検査部, 3日本大学病院健診センター, 4市立横手病院消化器内科, 5秋田赤十字病院超音波センター

1gastroenterology, Nihon University Hospital, 2Clinical inspection unit, Nihon University Hospital, 3Department of Health Planning center, Nihon University Hospital, 4gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 5Japanese Red Cross Akita Hospital, Ultrasonic diagnosis center

キーワード :

【目的】
当院は2014年に病院移転に伴い本院の健診センターの超音波検査含めて基準断面を作成し遵守している.対象臓器は肝臓,胆囊,膵臓,脾臓,腎臓,腹部大動脈とし,静止画の25断面を必須としている.これにより過去画像比較などは容易になりさらに非専門医でも取得画像の対象臓器が分かりやすく客観性の上昇により臨床的な有用性は高く評価されている.今回我々の施設での新人技士教育や医師研修における教育効果につて検討を行ったので報告をする.
【対象】
日本大学病院および同健診センター臨床検査技師および同検査室で検査を研修する医師
【方法】
上級技師・医師の指導により院内のボランティアで25断面のスクリーニング検査法の手法を修得する.その後実際の症例に対して検査を行うが臨床,実際の検査においては基本的には専門医師によるダブルスクリーナーによるチェックを行い終了とする.検査終了後保存画像より取得画像を評価し指導をする.
【結果】
指導は検査終了後に施行するため,これまでは何を目的として撮影したかが不明で評価不能となる画像も多くそのため検査結果に対する評価方法を含めた指導が中心であった.今回導入した撮影順番も固定したスクリーニング検査の基準断面による教育効果としては以下の5項目において効果があると考えられた.1.評価者として対象臓器が明確であるためストレス無く同じ状況で評価が可能となる.2.取得された各断面画像について各指導医が意義を指導しやすくなる.3.検者側の因子か被験者側の因子であるかの推測が可能となる.4.有所見は26枚目以降となるため異常所見の指導もしやすい.5.最低限の基準断面の確保⇒この断面を中心としたVolume dataの取得⇒時間短縮の順番で指導を行う事が可能
【考察】
教育・画像評価においては指導医も可能な限り同じ環境で評価に望むことが重要であると考えられる.そのためにも順番を規定したスクリーニング検査法は重要であると考えられた.超音波検査は基本手的に動画像で診断を行うものであると考えるが,指定画面の取得ができない検者の動画像ほど評価がし難く時間の浪費であることが考えられる.したがって,指定画面の取得の精度を上げその後その断面を中心とした1方向のVolume dataの保存が最も客観性の高い手法であると考えられた.今回教育面から検討したが,今後超音波検査においてもA.I診断や診断支援システムの導入に関して評価を行う前のどこを撮影しているかの把握が最大の懸念であることが判明した.これが超音波検査の最大の欠点である客観性の欠如に繋がっており,最短で普及面から考えても可能と考えられる点が撮影順番まで規定した検査方法であると考えられた.
【結論】
腹部スクリーニング検査法における基準断面の導入は教育面においても効果が高いと考えられた.