Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 運動器
病態へのアプローチ

(S772)

超音波断層法による肩関節前方不安定性の定量評価法の試み

The quantitative analysis of the anterior shoulder instability by ultrasound

後藤 英之1, 杉本 勝正2, 土屋 篤志3, 吉田 雅人1, 武長 徹也1, 竹内 聡志1, 大塚 隆信1

Hideyuki GOTO1, Katsumasa SUGIMOTO2, Atsushi TSUCHIYA3, Masahito YOSHIDA1, Tetsuya TAKENAGA1, Satoshi TAKEUCHI1, Takanobu OTSUKA1

1名古屋市立大学大学院医学研究科整形外科, 2名古屋スポーツクリニック整形外科, 3名鉄病院整形外科

1Orthopaedic Surgery, Nagoya City University Graduate School of Medical Science, 2Orthopaedic Surgery, Nagoya Sports and Orthopedic Clinic, 3Orthopaedic Surgery, Meitetsu Hospital

キーワード :

【目的】
肩関節前方不安定性の程度は,患者の主観的な不安定感や,関節包の弛緩や関節唇損傷といった画像所見によって定性的に評価されており,定量的評価法は確立されていない.そこで超音波断層法によって肩関節前方不安定性の定量評価を行ったので報告する.
【対象と方法】
肩関節の不安定性のない10例(対照群),平均年齢18.8歳(13-26歳)と,平均年齢18.8歳と,肩関節脱臼によって前方不安定性を呈した10例(不安定群),平均年齢22.4歳(13-37歳)およびそれに対して鏡視下Bankart修復手術を行ない術後6ヵ月経過した10例(手術群)を対象とした.使用機種はLOGIQS7(GEヘルスケア)で探触子はML6-15を用い周波数8MHz,深度6cmとした.被験者を仰臥位とし,前方走査で上腕骨頭と肩甲関節窩前縁を描出した.肩関節最大外旋位で,肩関節外転0°,45°,90°でrelocationテストに準じて前方から徒手的に骨頭を圧迫し,圧迫前後の骨頭の前後方向の変位量(AHT)および関節唇の側方変位量(LLT)を測定した.
【結果】
対照群では外転0°,45°,90°でのAHTは平均0.7mm, 1.0mm, 0.8mm,LLTは平均0.4mm, 0.4mm, 0.2mmであったが,不安定群ではAHTは平均1.7mm, 1.0mm, 1.8mm,LLTは平均0.6mm, 0.6mm, 0.7mmであり,不安定群は対照群と比較してAHTでは外転0°および外転90°において,LLTでは外転90°において有意に大きかった.手術群では外転0°,45°,90°でのAHTは平均0.9mm, 0.6mm, 0.8mm,LLTは平均0.2mm, 0.2mm, 0.2mmであり不安定群と比較して変位量は有意に減少し対照群と同等の変位量を示した.
【結論】
本法は超音波断層法を利用し,relocationテストを応用したものであるが,正常群,不安定群を区別することができるほか術後の評価にも利用でき,肩関節前方不安定性の定量評価法として有効である.