久米 伸治, 松重 俊憲, 濱 聖司, 坂本 繁幸, 岡崎 貴仁, 大下 純平, 石井 大造, 栗栖 薫

Shinji KUME, Toshinori MATSUSHIGE, Seiji HAMA, Shigeyuki SAKAMOTO, Takahito OKAZAKI, Junpei OHSHITA, Daizo ISHII, Kaoru KURISU

¹広島大学病院診療支援部画像診断部門, ²広島大学大学院医歯薬保健学研究科脳神経外科学

¹Division of Radiology, Department of Clinical Practice and Support, Hiroshima University Hospital, ²Department of Neurosurgery, Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University

キーワード :

【はじめに】
頚動脈可動性plaqueの中でもfloating plaque（FP）（Fig.1-A,B）は,「plaqueの表面に付着した構造物が血流により可動（振動）するもの」と定義されている.我々は, FPがB-Flowで高輝度に点滅する現象を発見した（Fig.1-C）.この現象は,あたかも車のウィンカー（Fig.1-D）のように点滅を繰り返すことから, “B-Flow Winker（ビーフローウィンカー）”と命名・報告している.一方で，FPがB-Flowで高輝度に点滅する原因は明らかとされてない.今回我々は,拍動性血流の中で, FPの動きを解析することにより, なぜB-Flowで点滅高輝度を示すのかを原理的な考察を加えて報告する.
【対象と方法】
2014年1月から2017年11月までに,当科で頸部頸動脈狭窄症の疑いで超音波検査を施行した485症例のうち, FPを認めたのは21症例であった.そのうち,B-FlowとPulse Wave Doppler（PWD）を同時に記録できていた8症例（52～86歳,男性6例,女性2例）,13個のFPを対象とし,後方視的に検証した. 超音波診断装置はGE Healthcare社製LOGIQ7を用い,Probeはリニア型10Lを使用した. FPに対して,B-FlowとPWDを同時記録し（Fig.1-E）,B-FlowでFPが高輝度に描出される時相を血流波形から解析した.
【結果】
全例で,B-FlowでFPが高輝度に描出される時相は,血流が速くなる時相（収縮期）であり, 血流が遅くなる時相（拡張期）ではFPは高輝度に描出されなかった.
【考察】
B-Flowの画像理論は, coded excitationとtissue equalizationという画像処理によりB-modeで血流表示をする画像表示法である. tissue equalizationとは, 動きの遅い物体に対して信号抑制をかける処理である.今回,B-FlowでFPが高輝度に点滅する原因は,拍動性血流の中でflapは一定に振動しているのではなく, 収縮期ではflapが激しく振動し, 拡張期ではあまり動かないため, tissue equalizationの信号抑制が変化し, 高輝度に点滅する現象が起こるものと考えられた.
【結語】
収縮期と拡張期の血流速度の違いによる不定振動によりFPはB-Flowでの点滅高輝度（B-Flow Winker）を示す.