Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児血流

(S729)

当院における一絨毛膜二羊膜性(MD)双胎一児死亡妊娠の生存児予後予測に関する検討

An Examination about the survival child convalescence prediction of one chorionic two amnion-related (MD) twin one baby IUFD in our Hospital

真田 道夫

Michio SANADA

松戸市立総合医療センター産婦人科

OBGY, Matsudo City Hospital

キーワード :

【緒言】
一絨毛膜二羊膜性(MD)双胎は,二絨毛膜二羊膜性(DD)双胎に比べて周産期死亡率及び神経学的後遺症を残す確率が高い.特に一児死亡の妊娠予後は不良であることが知られており,約50%がintact survival,約50%が死亡もしくは脳障害を有する,との報告もある.今回我々は妊娠19週でMD双胎一児死亡となったがintactな児を得た症例を経験し,過去に当院で経験した症例とを比較検討した.
【症例】
29歳の初産婦.妊娠11週に「MD双胎,胎児後頚部(NT)肥厚,双極性障害」にて紹介となるも妊娠15週でNT肥厚は軽快した.妊娠16週で初期にNT肥厚を認めていたLarger twinより羊水染色体検査施行,「10番染色体逆位」との結果であった.妊娠17週では両児の生存確認も,妊娠19週で一児(smaller twin)死亡となった.再度,生存児に胎児浮腫所見があり,MCA-PSV上昇も認めた.切迫流産兆候があり入院管理のうえtocolysisを開始した.胎児浮腫所見は徐々に軽快し,妊娠24週に消失した.安静,子宮収縮抑制剤の投与で在胎期間の延長を図ったが,妊娠32週で陣痛発来し胎児心拍モニタリング異常を認めたため緊急帝王切開術を施行,1796g,Aps6/8,pH:7.385の男児を娩出した.現在,8か月であるが児に神経学的後遺症は認めていない.
【結論】
2005年の1月から2017年12月までの13年間に当院でMD双胎一児死亡となった13例(今回の症例含む)のうちLarger twinの死亡症例は3例あったが,2例が子宮内胎児死亡(IUFD),1例が新生児死亡であった.Smaller twinが死亡した場合(10例),IUFDが3例,新生児死亡が2例,2例に神経学的後遺症を認めた.Intact survivalの3例は全て,一児死亡以前から当院でフォローしていたが,全てMCA-PSVの上昇を認めた.一方,予後不良であった10例のうち6例が一児死亡前の血流評価が得られているが,うちMCA-PSV上昇を認めたのは1例のみであった.
【考察】
MD双胎一児死亡後にはMCA-PSVが高値,即ち胎児貧血傾向である方が,生存児の予後が良好である可能性が考えられた.