Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児心臓

(S722)

総肺静脈還流異常の胎児診断におけるradiant flowの有用性

The advantage of radiant flow for fetal diagnosis of TAPVD

川瀧 元良, 田中 高志

Motoyoshi KAWATAKI, Takashi TANAKA

1神奈川県立こども医療センター新生児科, 2宮城県立こども病院循環器科

1Neonatology, Kanagawa Children's Medical Center, 2Cardiology, Miyagi Children's Hospital

キーワード :

【背景】重症心疾患の胎児診断率は近年急速に向上している.当院のデータベースによれば,単心室疾患の92%,二心室疾患の53%が胎児診断されている.しかしながら,単独の総肺静脈還流異常(以下TAPVD)の胎児診断率はいまだ低率にとどまっており,大きな課題として残されている.TAPVDのスクリーニング率向上のためには,スクリーニング技術の向上普及とともに,超音波機器の進歩,特に,カラードプラ・パワードプラの改良,新技術の登場が待たれている.今回,カラードプラ・パワードプラの新技術であるradiant flowが新しく実用化された.radiant flowがTAPVDの胎児診断へどのように応用できるかを検討した.
対象:正常例10例(20~40週),単独のTAPDVD1例(1a+1b,高度肺静脈狭窄合併)
【方法】カラードプラーおよびHDフローを通常モードとradiant flow モードで比較検討した.
【結果】1)radiant flow モードでは,末梢肺静脈が立体的に描出され,末梢肺静脈の確認が通常モードよりも容易であった.2通常モードに比べて)肺静脈を連続的に観察することが容易にできた.3)通常モードでは共通肺静脈と心房が明確に分離されなかったが,radiant flow モードではより明瞭に分離された.4)カラーのはみ出し(ブルーミング)の程度は通常モードよりもradiant flow モードの方が少なく,正確な形態診断が可能であった.
【考案】従来のカラードプラーおよびHDフローでは,TAPVDでも肺静脈が一見左房に流入しているように見えることがあり,胎児スクリーニングでの見逃しの一因になっている.radiant flow モードではブルーミングが少ないこと,肺静脈を立体的に観察できることから共通肺静脈と心房を分離して観察することが可能であった.また,肺静脈を末梢から連続的に観察することができるため,気管支内の肺法益のフローとの鑑別が容易にできた.このような特徴は,TAPVDの精度の高いスクリーニングにつながる可能性があると考える.
【限界】抄録作成の段階ではTAPVDは1例である.発表までに症例を追加して多数例で検討する予定である.