Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
経会陰超音波・頚管評価

(S721)

妊娠第2三半期における無症候性子宮頸管長短縮の発見時期と妊娠予後に関する検討

Timing of detection of asymptomatic short cervix by transvaginal ultrasonography at 2nd trimester and perinatal outcome on singleton pregnancy

川村 裕士, 西島 浩二, 玉村 千代, 高橋 仁, 折坂 誠, 吉田 好雄

Hiroshi KAWAMURA, Koji NISHIJIMA, Chiyo TAMAMURA, Jin TAKAHASHI, Makoto ORISAKA, Yoshio YOSHIDA

福井大学医学部附属病院産科婦人科

Obstetrics and Gynecology, University of Fukui

キーワード :

【はじめに】
妊娠第2三半期における無症候性の子宮頸管長(cervical length, CL)短縮は自然早産と関連するが,その管理方針は未だ定まっていない.治療的子宮頸管縫縮術の早産予防効果は限定的とされる.また,妊娠第2三半期の後半に初めてCL短縮が発見された場合,多くは子宮収縮抑制剤を中心とした切迫早産治療のみで管理される.当院では,妊娠25週未満に無症候性のCL短縮を認めた場合に,子宮頸管縫縮術を考慮している.今回,妊娠第2三半期に無症候性CL短縮を認めた単胎妊娠において,CL短縮の出現時期や頸管縫縮術の有無と妊娠予後との関連を明らかにすることを目的とし,以下の検討を行った.
【対象と方法】
2007年1月~2017年9月に当院で管理した,単胎かつ妊娠第2三半期に無症候性CL短縮を認めた30例を対象とした.妊娠25週未満にCL短縮が発見された症例のうち,頸管縫縮術を行った16例をA群,頸管縫縮術を行わなかった9例をB群, そして妊娠25週以降28週未満にCL短縮が発見された5例をC群に分類した.主要評価項目を早産率(妊娠34週未満,37週未満),副次評価項目を入院日数および分娩前退院率とし,診療録を用いて後方視的に比較検討した.統計解析はFisher直接確率検定とOne-way ANNOVA法を用いた.
【結果】
対象30例のうち,中期自然流早産既往が2例(いずれもA群),円錐切除術既往が3例(各群1例ずつ)であった.CL短縮発見時のCLは,A群 15.2mm(中央値)(8-23.8)(範囲),B群 12.4mm(18-25),C群 12mm(7-19)であった.妊娠34週未満の早産率はA群 0%(0/16),B群 22.2%(2/9),C群0%(0/5)であった.妊娠34週以降37週未満の早産率はA群 12.5%(2/16),B群 22.2%(2/9),C群 80%(4/5)であり,C群はA群と比較しlate pretermの早産が有意に高率であった(P=0.01).平均入院日数はA群 34日(8-142),B群 89日(37-131),C群 62日(48-90),分娩前退院が可能であったものは,A群 94%(15/16),B群 56%(5/9),C群 20%(1/5)であり,A群で有意に入院日数が短く分娩前退院が高率だった(P<0.05).
【考察】
無症候性CL短縮例に対して,早産予防を目的とした頸管縫縮術や黄体ホルモン療法の有効性が検討されているが,これらに関する臨床試験の多くは,妊娠25週未満でのCL短縮例を対象としている.本検討結果から,25週以降に初めてCL短縮が確認された場合でも,上記のような介入が検討されるべきかもしれない.
【結語】
妊娠第2三半期における無症候性CL短縮を管理する際に,子宮頸管縫縮術は長期入院を回避するオプションの一つと考えられた.C群の80%がlate pretermに自然早産となっており,早産予防法の再考を要すると思われた.