Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
絨毛疾患・産後出血

(S714)

黄体化過剰反応を伴った巨大な胞状奇胎の一例

A case of hydatidiform mole with hyperreactioluteinails

田野 翔, 上野 琢史, 山田 拓馬, 竹田 健彦, 宇野 枢, 鵜飼 真由, 鈴木 徹平, 原田 統子, 岸上 靖幸, 小口 秀紀

Sho TANO, Takuji UENO, Takuma YAMADA, Takehiko TAKEDA, Kaname UNO, Mayu UKAI, Teppei SUZUKI, Toko HARATA, Yasuyuki KISHIGAMI, Hidenori OGUCHI

トヨタ記念病院産婦人科

The Department of Obstetrics and Gynecology, TOYOTA Memorial Hospital

キーワード :

【緒言】
現在,妊娠の診断は初期になされることがほとんどであり,胞状奇胎が疑われれば可及的早期にD&Cが行われるため,巨大な胞状奇胎を認めるのは稀である.黄体化過剰反応は特に血中hCGが高値となるような胞状奇胎や多胎妊娠例に認めることが多く,時に卵巣は多房性囊胞性腫瘤を形成することがあり,粘液性腺腫と誤診されることもあるため注意が必要である.今回,我々は超音波断層法が診断に有用であった黄体化過剰反応を伴った巨大な胞状奇胎の1例を経験したので報告する.
【症例】
症例は未婚の23歳(1妊0産).妊娠反応陽性,多量の不正出血のため当院救急外来へ搬送となった.最終月経は不詳であった.来院時は血圧109/74 mmHg,脈拍97 bpm,臍上7 cmに及ぶ弾性硬の腹部腫瘤を触れた.超音波断層法で腹部腫瘤は無数の小嚢胞で充満した20.3×14.6×8.8 cmの子宮であり(図1),両側卵巣に多房性嚢胞性病変(右:5.97×3.65 cm,左:7.96×3.43 cm)を認めた.腹水の貯留はなかった.血液検査ではHb 3.9 g/dL と非常に高度の貧血を認め,血中hCGは20万 mIU/mL以上であった.入院後,輸血を行い胞状奇胎の診断で吸引器によるD&Cを施行した.子宮内容物は1936 gで,肉眼的・病理学的所見から全胞状奇胎と診断した.1週間後に2度目のD&Cを施行したが,初回D&Cから5週間後の血中hCGは12674 mIU/mLと高値であった.メトトレキセート(MTX)による化学療法を行ったが,初回手術後8週間の血中hCGは365 mIU/mL であり,更にMTXによる治療を追加した.この時,左右卵巣はともに縮小していた(右:5.36×3.06 cm,左:4.66×1.64 cm)が,両側とも多房性嚢胞性病変は残存していた.初回D&Cから17週が経過した現在,血中hCGは4 mIU/mLまで低下し経過観察を継続中であり,両側卵巣は左右それぞれ3.28×2.28 cm,2.54×1.87 cmまで縮小し,左卵巣の嚢胞性病変は消失した.
【考察】
黄体化過剰反応は,特異な内分泌環境であること,両側性であること,個々の囊胞が比較的均一である事が特徴とされている.鑑別疾患として卵巣過剰刺激症候群が挙げられるが,排卵誘発剤の使用歴や腹水・胸水の有無,胞状奇胎の合併などが鑑別の一助となる.
【結論】
非常に高い血中hCGを伴うような絨毛性疾患の患者では両側卵巣は腫大することがあるが,黄体化過剰反応を疑った場合,真の卵巣腫瘍との鑑別が重要であり,腫瘍性病変の評価,および経時的変化の確認に超音波断層法は有用である.