Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎盤・臍帯 1

(S712)

妊娠初期の胎盤体積と児の予後を推測する興味ある1例

A case that was able to predict of birth weight by a placenta volume in early pregnancy

芹沢 麻里子

Mariko SERIZAWA

浜松医療センター産婦人科

Dept. of OB/GYN, Hamamatsu Medical Center

キーワード :

【目的】
出生体重は出生時の胎盤重量と関連があることは知られている.そこで我々は妊娠初期の胎盤体積を計測し出生体重との関連を報告してきた.今回はそれを裏付ける興味ある症例を経験したので報告する.
【方法】
胎盤体積はVoluson730・VolusonE8のVocal mode manual trace を使用し妊娠11-14週に,6度30回トレースで計測した.胎盤体積の指標はPQ:placental quotient(placental volume/crow-rump length,正常平均値0.997)を使用した.PQ値の正常値は当科で経験した妊娠初期胎盤体積の270症例から計測した.
【結果】
初診時34歳,1妊0産,タイミングにて妊娠成立.切迫流産のため妊娠14週から20週まで入院管理.その後外来フォローとしたが妊娠高血圧症候群のため妊娠24週から入院,妊娠26週3日,胎内死亡となり564g(-2.6SD)の女児を娩出となった.妊娠11週2日のPQ0.632であった.妊娠20週時の子宮動脈PI値1.21と高値であった.第2子,37歳,2妊1産,IVF-ETにて妊娠成立し妊娠37週0日,2498g(-0.7SD)の男児を骨盤位のため帝王切開にて分娩となった.妊娠11週5日のPQ0.851,妊娠13週5日のPQ1.076であった.妊娠20週時の子宮動脈PI値は0.41であった.第3子,38歳,3妊2産,自然妊娠にて妊娠成立.胎児発育不全のため妊娠30週から管理入院,妊娠32週2日,胎胞膨隆となり緊急帝王切開施行し1038g(-3.1SD)女児を出生した.妊娠12週4日のPQ0.412,妊娠14週4日PQ0.547であった.妊娠20週時の子宮動脈PI値は0.39であった.
【結論】
妊娠初期の胎盤体積と児の出生体重と関連があることを示唆する1症例3分娩を経験した.妊娠初期の胎盤体積が小さい症例はFGRのハイリスクとして管理が必要であり,さらに子宮動脈のPI値が高い症例は妊娠高血圧症候群のハイリスクとして管理する必要性があることを裏付ける症例であった.