Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 産婦人科
胎児治療 他

(S709)

HIFU照射方式の違いによるブタ腎実質焼灼の比較検証

Comparison between two different HIFU exposure against pig kidney

イズデプスキ 龍也, 瀬尾 晃平, 西井 彰悟, 土肥 聡, 高木 亮, 吉澤 晋, 梅村 晋一郎, 関沢 明彦, 市塚 清健

Tatsuya IZDEBSKI, Kohei SEO, Shogo NISHII, Satoshi DIHI, Ryo TAKAGI, Susumu YOSHISAWA, Shinichiro UMEMURA, Akihiko SEKIZAWA, Kiyotake ICHIZUKA

1昭和大学医学部産婦人科学講座, 2昭和大学横浜市北部病院産婦人科, 3産業技術総合研究所健康工学研究部門, 4東北大学大学院医工学研究科

1Showa University, 2Showa University Northern Yokohama Hospital, 3Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 4Tohoku University

キーワード :

【目的】
強出力集束超音波(high-intensity focused ultrasound : HIFU)は出力の強い超音波を焦点に照射することにより発生した熱エネルギーおよびキャビテーションで,焦点を加熱凝固および変性に導くことが出来る.これまで使用してきたHIFUトランスデューサーを用いて経皮的に血管の変性により血流の遮断を可能にしたが,一方皮膚表面に熱傷を引き起こし,熱傷の発生が治療完遂の障壁となっている現状がある.本研究では,問題点を解決すべく従来のものよりも開口径を大きくしたHIFUトランスデューサーを用い,全面照射法と分割照射法の2種類の照射方式において腎実質の焼灼ができるかを検証した.
【方法】
全身麻酔下の生後3か月の幼若豚の左右腎臓を対象とした.HIFUトランスデューサーは,改良型を用いた.開口径100mmとし,HIFU照射面を6分割照射可能なトランスデューサーを作成し実験に供した(旧型は開口径が75mmで,照射面は1面).HIFU強度はTAP200W, 周波数は1.1MHzとし,照射時間は1回10秒間,インターバルは20秒間,10回照射を1セットとした.照射方式はトリガー照射とし,全面照射と分割照射で左右の腎実質に2か所ずつ,計4カ所に対し照射した.シーケンスを同出力下に設定し,全面照射と分割照射で焼灼能力に違いがあるかどうかについて比較した.照射中の幼若豚へのHIFU照射の影響を調べるため血圧,脈拍,呼吸数,血中酸素濃度を照射前後連続的に測定した.実験動物倫理員会の承認を得て行なった.
【結果】
全面照射と分割照射の照射部位における超音波所見を比較した.いずれの照射方法においても超音波Bモード画像で高輝度エコー像を認めた.病理組織所見で尿細管上皮に空胞変性を認めた.また,マクロ像では照射領域の色調の変化を認めたが,病理組織では明らかな変化を認めなかった.焼灼部位近傍の毛細血管に赤血球がうっ滞していたことが示唆された.従来法,分割照射の間での焼灼性能に差がないことがわかった.幼若豚の血圧,脈拍,呼吸数,血中酸素濃度は照射前後で変化はなかった.
【結論】
同一部位に十分な照射を行えば,いずれの照射方法でも焼灼させ得ることが可能であるとわかった.開口径の増大に伴う皮膚通過面の単位面積あたりの超音波エネルギーの低減を得ながら,治療効果を担保できることが示された.全面照射に比べ分割照射では,安全性と性能の観点から有用であると考えられた.