Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓/症例

(S691)

Groove pancreatic carcinomaの診断に腹部超音波検査とEUS-FNAが有用であった1例

Abdominal ultrasonography and EUS-FNA was useful diagnosis of groove pancreatic carcinoma

髙松 泉, 平野 淳, 小坂 弓恵, 向井 伸治

Izumi TAKAMATSU, Atsushi HIRANO, Yumie OSAKA, Shinji MUKAI

1独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター臨床検査科, 2独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター消化器内科

1National Hospital Organization Minami-Okayama Medical Center, Department of Clinical Laboratory, 2National Hospital Organization Minami-Okayama Medical Center, Department of Gastroenterology

キーワード :

【はじめに】
Groove pancreatic carcinoma(groove領域膵癌)は稀な疾患であり,通常嘔気,上腹部痛,黄疸などを主訴として発見されることが多い.今回,胃癌手術後のスクリーニング検査として腹部超音波検査(AUS)にて偶然発見し,超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)が診断に有用であったgroove領域膵癌の1例を経験したので報告する.
【症例】
症例:60歳代男性.15年前に胃癌手術施行されており,スクリーニング検査としてAUS施行となった.AUSでは,肝左葉外側下区域背側と膵頭部間に腫瘤を認めた.腫瘤は,サイズ26×47mm,境界明瞭,不整形,内部充実性で比較的均一,エコー輝度は肝臓と比較しisoechoic~ややhypoechoic,後方エコーは不変,内部に拍動性血流を認めた.十二指腸,膵臓に隣接していたが明らかな繋がりは観察されず,また主膵管(MPD)の拡張は認めないことからリンパ節腫大を疑ったが,膵頭部腫瘤も否定できなかった.
造影CT検査,腹部MRI検査では,胃前庭部大弯から背側部に突出するようなダンベル状の腫瘤が確認され,血管増生は強くなく遅延性の濃染が見られ,膵腫瘍性病変は指摘されず,胃GISTもしくはリンパ節腫大が疑われた.
腫瘤の精査と細胞診目的として上部消化管内視鏡検査(EGD)と超音波内視鏡検査(EUS)が施行された.EGDでは胃粘膜下腫瘍(SMT)は確認されず,EUSでは十二指腸より腫瘤が描出され,境界明瞭,低エコー充実性腫瘍で内部は血流を伴う比較的均一な像であった.膵臓とは接しているものの首座は膵外にある印象であり膵腫瘍よりもリンパ節腫大が疑われた.
確定診断のため施行されたEUS-FNAでは,細胞診所見:Adenocarcinoma(Class V),組織所見:Carcinoma, intraabdominal mass, 免疫染色:CK7(+), CK20(+)から,膵癌もしくは胃癌が考えられた.
PETCT検査にてgroove領域膵癌の可能性もあるとの所見より手術施行となり,病理組織診断にて膵頭部(groove領域)原発の中分化型管状腺癌と診断された.
【考察】
通常,groove領域膵癌は十二指腸への浸潤による狭窄,総胆管や膵管の閉塞に伴う嘔気,上腹部痛,黄疸によって発見されることが多いが,本症例は無症状であり,AUSでは膵頭部癌に典型的な境界不明瞭な低エコー腫瘤やMPDの拡張も認めず,また明らかな膵臓との繋がりも確認されなかったことから,その他の腫瘤との鑑別が困難であった.鑑別疾患として考えられたSMT,リンパ節腫大では,SMTはEGDにて否定されたがリンパ節腫大との鑑別に苦慮した.しかしEUS-FNAの組織診断にて膵癌と疑われたことが診断へ至ったと考える.
【結語】
AUSによるスクリーニング検査を契機に発見され,EUS-FNAが鑑別診断に有用であったgroove領域膵癌を経験したので報告する.