松本 直樹, 小川 眞広, 野村 舟三, 藤澤 真理子, 高橋 利実, 竜崎 仁美, 中河原 浩史, 今津 博雄, 森山 光彦, 片山 和弥

Naoki MATSUMOTO, Masahiro OGAWA, Shuzo NOMURA, Mariko FUJISAWA, Toshimi TAKAHASHI, Hitomi RYUZAKI, Hiroshi NAKAGAWARA, Hiroo IMAZU, Mitsuhiko MORIYAMA, Kazuya KATAYAMA

¹日本大学医学部消化器肝臓内科, ²医療法人社団せいおう会鶯谷健診センター検査チーム

¹Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Medicine, Nihon University School of Medicine, ²Department of Clinical Laboratory, Uguisudani Medical Center

キーワード :

【目的】
早期慢性膵炎の診断は超音波内視鏡所見により行うものと定められているが，同様または類似の所見が体外式超音波でも観察されることは多く経験される．今回，人間ドック受診者を対象として，腹部スクリーニングの超音波検査に高周波プローブを用い，早期慢性膵炎の画像所見の有無について評価を行ったので報告する．
【方法】
2017年4月～8月に腹部超音波検査を行ったドック受診者連続59例．使用装置はAplio300（東芝），プローブはPLT704AT（中心周波数7.5MHz）．検査は超音波専門医または超音波検査士が行い，静止画・動画を保存して評価した．同時に問診で腹痛・背部痛の有無を確認した．男性46例，女性13例．年齢は51（32-78）歳．
【成績】
1.詳細な観察が可能だったのは49例（83.1％）．2.エコーレベルは高エコー33例（55.9％），等エコー12例（20.3％），低エコー17例（28.8％）．3.蜂巣状分葉エコー0例（0％），不連続な分葉エコー0例（0％），点状高エコー9例（18.4％），索状高エコー14例（28.6％），嚢胞1例（2.0％），分枝膵管拡張15例（30.6％），膵管辺縁高エコー26例（53.1％）．4.腹痛・背部痛は4例（8.2％）で自覚していた．5.Major 1項目を含む2項目以上陽性だったのは9例（18.4％）．この中で腹痛・背部痛を合併していたのは2例（4.1％）．そのうち1例を要精査とし，超音波内視鏡を行ったところ，膵実質に異常所見は見られなかった．
【考察】
超音波内視鏡で観察されるこれらの所見と体外式高周波プローブでの所見は同一ではなく，体外式超音波検査による早期慢性膵炎の診断は慎重に判断されるべきである．