Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
脾臓/その他/症例

(S683)

経腹超音波を用いた脾臓体積の推定

Expectation of the splenic volume as measured by transabdominal ultrasonography

坂井 貴光, 阪上 順一, 保田 宏明, 十亀 義生, 加藤 隆介, 土井 俊文, 諏訪 兼敏, 提中 克幸, 高田 智規, 伊藤 義人

Takamaitsu SAKAI, Jyunnichi SAKAGAMI, Hiroaki YASUDA, Yosio SOGAME, Ryuusuke KATOU, Toshifumi DOI, Kanetoshi SUWA, Katsuyuki DAINAKA, Tomoki TAKADA, Yoshito ITOU

1京都府立医科大学附属病院臨床検査部, 2京都府立医科大学附属病院中央診断部超音波検査室, 3京都府立医科大学附属病院消化器内科

1Depertment of Clinical Laboratory Medicine, Kyoto PrefeUniversity of Medicine, 2Central diagnosis department sonography room, Kyoto PrefeUniversity of Medicine, 3Depertment of Gastrointestinal Medicine, Kyoto PrefeUniversity of Medicine

キーワード :

【はじめに】
脾臓は血液の貯蔵,血球の破壊,リンパ球の生成,骨髄機能の調節,網内系として感染防御など多くの機能を有している.従って,脾臓の腫大(脾腫)は,多彩な疾患で腫大する.脾臓容積は個体差が大きいが,一般に200cm3以上では病的な症例が多いといわれる(杉浦ら;現代外科学体系1970).今日まで腹部超音波における,脾臓の計測法はいくつか考案されているが,2014年に日本超音波医学会,日本消化器がん検診学会,日本人間ドック学会より出されている「腹部超音波検診判定マニュアル」では長径を計測する方法が記載されている.しかし,このマニュアルには長径の測定についてのエビデンスが記載されていない.今回,腹部超音波にて脾腫の計測の各種方法と脾臓容積についての相関関係を検討した.
【対象と方法】
2016年2月から2016年8月までに当院で腹部超音波検査を受けた症例のうち,腹部超音波検査日から1年以内にCTもしくはMRIを実施されており,かつ腹部超音波で脾臓の全体が描出された連続100例を対象とした.CT・MRIからのvolumetryにて脾臓容積を計測した.その値を基準とし1.腹部超音波検診判定マニュアル(長径)2.古賀の式(古賀)3.千葉大学第一内科の式(千葉大)を比較検討した.
【結果】
容積と長径との関係はr2=0.58という相関を認めた.容積と古賀との関係はr2=0.67という相関を認めた.容積と千葉大の相関はr2=0.68=であった.
【考察】
どの方法も,容量と良い相関を示した.相関係数は千葉大の式,古賀の式,長径の順で高かった.限られた時間の中で脾腫を指摘するには長径の計測で問題ないと考える.しかし,中には脾臓体積≧200cm3の脾腫があるにもかかわらず,超音波計測値が正常範囲内を示す症例も存在するので,解釈の限界を知っておく必要がある.
【結論】
腹部超音波マニュアルにおける脾臓の長径計測による脾臓容積の推定は,既報と比較して関与率はやや低下するものの簡便に運用できる測定方法であると考えられた.しかし,すべての脾腫が捉えられるわけではないため,血球減少などの脾機能亢進が疑われた場合には他の画像modalityも参照すべきと考えられる.