Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
消化管/症例

(S671)

SMIを用いた体外式超音波検査により経時的評価を行ったクローン病の2例

Two Cases of Crohn’s Disease Evaluated by Transabdominal Ultrasonography using Superb Micro-vascular Imaging (SMI)

松本 和久, 丹伊田 卓, 北口 一也, 石本 博基, 島崎 洋, 杉山 浩平, 宮川 麻希, 那須野 正尚, 田中 浩紀, 本谷 聡

Kazuhisa MATSUMOTO, Suguru NIIDA, Kazuya KITAGUCHI, Hiroki ISHIMOTO, Hiroshi SHIMAZAKI, Kouhei SUGIYAMA, Maki MIYAKAWA, Masanao NASUNO, Hiroki TANAKA, Satoshi MOTOYA

1JA北海道厚生連札幌厚生病院医療技術部放射線技術科, 2JA北海道厚生連遠軽厚生病院医療技術部放射線技術科, 3JA北海道厚生連札幌厚生病院IBDセンター

1Department of Radiological Technology, Hokkaido P.W.F.A.C. Sapporo-Kosei General Hospital, 2Department of Radiological Technology, Hokkaido P.W.F.A.C. Engaru-Kosei General Hospital, 3IBD center, Hokkaido P.W.F.A.C. Sapporo-Kosei General Hospital

キーワード :

【はじめに】
クローン病(CD)は若年に好発し,再燃と寛解を繰り返す難治性の疾患であり,その画像フォローにおいては低侵襲で安価なモダリティーが望まれている.近年,CDの画像評価における体外式超音波検査(US)の有用性の報告が散見されるが,治療前後を詳細に検討した本邦の報告は少なく,特に微細で低流速な血流評価が可能なSuperb Micro-vascular Imaging(SMI)を用いた検討は稀である.今回我々はCDの治療効果判定にSMIを含めたUSの経時的評価が可能であった2例を経験したので報告する.尚,USは東芝社製Aplio400/500を用い,血流評価は半定量の評価方法であるLimberg score(LS)を用いた(表1).
【症例1】
70歳男性,小腸大腸型CD.回盲部切除の既往があり,治療前の下部内視鏡検査(CS)では吻合部と口側回腸に不整形潰瘍を認め,USでは吻合部に層構造不明瞭な壁肥厚(壁厚 7.5mm)を認めた.SMIを用いた血流評価では腸間膜に達する血流シグナルの増加を認め,LS 4と判断した.抗TNFα抗体製剤(アダリムマブ: ADA)による治療を開始後,12週時には壁厚4.2mmまで改善し,血流評価を含めたLSは3に低下したが,24週時には再度腸管壁厚は増加傾向となり,腸間膜に達する血流シグナルを認めLSは4に上昇していた(表2).24週時のCSでは吻合部と口側回腸の不整形潰瘍の残存を認めている.
【症例2】
17歳男性,小腸大腸型CD. 治療前のCSでは上行結腸にびらんが多発し,横行結腸に縦走潰瘍を認めた.USでは上行結腸から横行結腸に層構造不明瞭な壁肥厚(壁厚 8.0mm)と腸間膜に達する血流シグナルの増加を認め,LS 4であった.ADA投与後,4週時には壁厚は5.9mmと肥厚を認めるものの,血流評価では点状の血流シグナルが残存するのみであり,LSは2に低下していた.12週時と24週時ではいずれも壁厚は4mm以下で層構造も明瞭化し,血流シグナルは消失しており,LSは0であった(表3).24週時のCSでは治療前に認めた縦走潰瘍は全て瘢痕化しており,著明な改善を認めた.
【結語】
SMIによる血流評価を含めた体外式USにて経時的な評価が可能であったCD2例を経験した.腸管壁厚や層構造に加え微細な血流評価を行うことが可能となり,低侵襲で繰り返し施行可能な体外式USの治療効果判定ツールとしての有用性が示唆された.