Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 消化器
膵臓/胆道

(S655)

当院におけるEUS-FNA(Aspiration)からEUS-FNB(Biopsy)への変遷

Transition from EUS-FNA (Aspiration) to EUS-FNB (Biopsy) in our hospital

香川 幸一, 北村 英俊, 岡沢 啓, 水城 啓, 永田 博司

Koichi KAGAWA, Hidetoshi KITAMURA, Kei OKAZAWA, Kei MIZUKI, Hiroshi NAGATA

神奈川県警友会けいゆう病院消化器内科

Gastroenterology, Keiyu Hospital

キーワード :

【目的】
近年の画像進歩および検診の普及により,偶発的に診断される小病変は増加傾向である.また,希少疾患や良悪性鑑別に難渋する場合は,より確実な病理診断のため,免疫染色や構造異型の評価が必要で,小病変に対してでも,十分な組織を採取することが求められている.従来の穿刺針は細胞診(Aspiration)ベースであったが,近年では組織をより確実に採取できるよう先端形状が工夫され,組織診(Biopsy)ベースを目的とした穿刺針がいくつか開発されている.今回,先端がフランシーン形状となっているEUS-FNB穿刺針AcquireTMの使用経験を得たので報告する.
【対象と方法】
AcquireTM 22Gを使用しEUS-FNB施行した36例40病変を対象とし,腫瘍径別(2cm未満と2cm以上),穿刺対象別(膵とそれ以外),穿刺部位別(胃食道と十二指腸)に分類し,組織採取率(構造異型の評価できない検体や細胞診のみの検体除く)を比較検討した.また,AcquireTM導入前にEUS-FNA(EXPECTTM 22Gなどランセット形状の穿刺針を使用)施行した連続40病変と,組織採取率をretrospectiveに比較した.当院ではROSE(Rapid on-site evaluation)は行わず,吸引法(20ml陰圧)をベースとし,血液混入が多い場合はslowpull法で採取している.穿刺回数は2-3回で,20ストローク/回を標準としている.
【結果】
全体のEUS-FNBによる組織採取率は37/40(92.5%)であった.腫瘍径別,穿刺対象別,穿刺部位別の組織採取率は,それぞれ8/9(88.9%)と29/31(93.5%)(p=0.545), 25/26(96.1%)と12/14(85.7%)(p=.276),23/24(95.8%)と14/16(87.5%)(p=0.553)であった.EUS-FNAによる組織採取率は,32/40(80.0%)(p=0.193)であった.なおEUS-FNA,EUS-FNBいずれも偶発症は認めなかった.
【結論】
穿刺針の改良により,組織採取率は向上してきており,また従来難しいとされた小病変や十二指腸からの穿刺でも,十分な組織採取が可能となってきている.今後EUS-FNBの普及が期待される.