Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
心筋症

(S643)

心尖部瘤合併中部閉塞型肥大型心筋症における左室内血流動態の特徴

The Intracavitary Flow Dynamics of Hypertrophic Cardiomyopathy with Mid-Ventricular Obstruction and Apical Aneurysm

飯野 貴子, 梅田 有理, 新保 麻衣, 佐藤 和奏, 渡邊 博之

Takako IINO, Yuri UMETA, Mai SHIMBO, Wakana SATO, Hiroyuki WATANABE

秋田大学大学院医学系研究科循環器内科学

Department of Cardiovascular Medicine, Akita University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
中部閉塞型肥大型心筋症(mid-ventricular obstruction;MVO)は肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy;HCM)のなかでもまれな形態である.心室性不整脈や血栓塞栓症など致死性合併症を発症し,HCMのなかでも予後不良のタイプであることが報告された.特に,左室心尖部瘤合併例では,瘤内に血栓を形成し,血栓塞栓症を発症したとの症例報告が散見される.血栓形成機序として,左室内血流動態の関与が疑われるが,詳細は不明である.
【目的】
心尖部瘤を合併したMVO症例における左室内血流動態の特徴を明らかにすること.
【方法】
当院で臨床的にHCMと診断された症例のうち,心尖部瘤を合併したMVO症例8例(MVO群)と,左室内に閉塞機転をもたないHCM 12例(non-MVO群),計20例を対象とした.左室駆出率50%未満,心房細動,ペーシングリズム例は除外した.心尖長軸像,二腔像,四腔像それぞれのカラードプラ画像を取得し,Vector Flow Mapping(VFM)を用いて,左室内の血流動態をベクトル表示することにより心周期における左室内血流動態を比較した.
【結果】
non-MVO群では,拡張早期に左室流入路から心尖部方向に流入する血流が検出され,それに引き続き左室内で大きな渦が形成された.続いて,収縮期の開始とともに左室流出路に向かい駆出される血流が検出された.MVO群においても,拡張早期に左室流入路から心尖部方向に流入し左室内で渦を形成するまではnon-MVO群とほぼ同様の血流動態が観察された.一方,収縮早期に左室流出路に向かう駆出血流は,閉塞部より流出路側のみで形成されており,それと同時相に,閉塞部から心尖部方向に向かう低流速の逆行性血流が検出された(Flow A).続いて,心室瘤内では,全収縮期を通じてうっ滞する血流が観察された(図,Flow B).瘤内でうっ滞した血流は,拡張早期に僧帽弁が解放した時相で基部側に流出した(Flow C).各群における上記Flow A-Cの検出率は,Flow AがMVO群40%,non-MVO群8%(P=n.s.),Flow BがMVO群100%,non-MVO群17%(P<0.001),Flow CがMVO群63%,non-MVO群0%(P<0.01)であった.
【結語】
心尖部瘤を合併したMVO症例では,左室内に閉塞機転をもたないHCMとは異なる血流動態を示した.VFMを用いることにより,瘤内の血流うっ滞を視覚的にとらえることが可能であった.