Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
循環器 その他

(S634)

超高齢化社会で行う患者安全のための外来座位心エコーの正常値に関する検討

Normal Values of Echocardiographic Parameters at the Sitting Position for Patient Safty

舛形 尚, 千田 彰一

Hisashi MASUGATA, Shoichi SENDA

香川大学医学部総合内科

Department of General Medicine, Kagawa Univeristy

キーワード :

【目的】
超高齢化社会を迎え外来では,足腰が弱く転倒しやすい超高齢者や,亀背や呼吸困難のために臥位になることが困難な超高齢心不全患者など,ベッド上臥位での心臓超音波検査が不向きな実臨床場面に遭遇することが多くなった.また,定期的に通院する安定した超高齢心不全患者においても身体診察だけではなく,診るポイントを絞った短時間で終えられるPoint of Careエコーが患者の容体悪化の早期発見に役立つ可能性もある.このように超高齢化社会では転倒や診断の遅れを避ける目的で患者安全のために心エコーを座位で行うほうが望ましい場合がある.しかし,心機能評価を目的として座位で心エコーを行う場合,座位と臥位での測定値の差異は明らかにされていない.本検討では座位,臥位の順で心エコーを繰り返し行い,両者の計測値を比較した.
【対象および方法】
外来通院中の心疾患既往のない高血圧患者28例(非心疾患群)と種々の心疾患による重症ではない慢性心不全患者10例(心疾患群)を対象とした.外来で,まず座位でMモード法を用いて大動脈径,左房径(LAD),左室拡張末期径(LVDd),左室駆出率(EF),下大静脈径を計測し,パルスドプラ法で左室流入速度波形のE波高,A波高,E/A比を計測した.その後,ベッド上臥位として1分経過後から上記の指標計測を再度行った.座位と臥位での血圧,心拍数も計測し,心エコー計測指標とともに座位と臥位の値を比較した.
【結果】
非心疾患群は心疾患群に比較して年齢に差を認めなかった(70±13 vs. 75±9 歳)が,β遮断剤使用率(11% vs. 70%,P=0.004)とBNP値(24±16 vs. 125±61 pg/mL,P<0.001)は有意に低値であった.心エコーでは非心疾患群は心疾患群に比較して,座位LVDd(46±4mm vs. 50±5mm,P=0.043)は有意に小であり,座位EF(61±6% vs. 50±14%,P=0.031)は有意に大であった.座位から臥位への比較では両群ともに,座位に比較して臥位では,下大静脈径(非心疾患群15±4→11±4mm,心疾患群14±4→10±4mm,ともにP<0.01)が縮小し,左房径(非心疾患群27±5→33±6mm,心疾患群31±5→35±3mm,ともにP<0.01)が拡大した.拡張早期血流速度E波高(非心疾患群46±10→61±12cm/s,心疾患群36±13→50±20cm/s,ともにP<0.01)とE/A(非心疾患群0.82±0.30→1.01±0.36,心疾患群0.60±0.18→0.75±0.29,ともにP<0.05)は増大した.
【考察】
今回対象とした非心疾患群と,重症ではない慢性心不全を呈する心疾患群では,両群ともに,臥位と座位では左室への負荷状態の変化を反映して同様の計測値の差異を呈していた.外来で心エコーを座位で行う場合には,この差異を考慮して心機能を評価する必要がある.この差異に臨床的に有意な意義があるか否かについて,さらに様々な重症度の心不全を有する心疾患を対象として検討する必要があると考えられた.