Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
腫瘍 その他 2

(S630)

巨大左室仮性瘤の一例

Large left ventricular pseudoaneurysm

北洞 久美子, 丹羽 文彦, 後藤 繁優, 橋ノ口 由美子, 澤 幸子, 須佐 知子, 堀 貴好, 森田 康弘, 森島 逸郎, 坪井 英之

Kumiko KITAHORA, Fumihiko NIWA, Shigemasa GOTOU, Yumiko HASHINOKUCHI, Sachiko SAWA, Tomoko SUSA, Takayoshi HORI, Yasuhiro MORITA, Itsurou MORISHIMA, Hideyuki TSUBOI

1大垣市民病院診療検査科, 2大垣市民病院循環器内科

1Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 2Cardiology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

今回,経胸壁心エコー検査で左室壁の欠損部位を指摘できた巨大左室仮性瘤の一例を経験したので報告する.
症例は2型糖尿病に伴う末期腎不全,高血圧の病歴がある52歳女性.2016年3月より腹膜透析導入していた.2017年10月頃より心拡大とBNP上昇あり.2017年12月に血液透析切り換え予定で当院に入院した.心電図検査にて完全右脚ブロックとV1-5に広範なST低下を認めた.精査目的の経胸壁心エコー検査にて,左室後側壁は菲薄化しakinesisを呈しており,左室後面に101×70mmの巨大仮性瘤を認めた.左室側壁と仮性瘤の間には両方向性の交通を2ヶ所(基部側に6.3mmと中部に2.1mm)確認できた.仮性瘤の内部には血栓はなく,少量の心嚢水あり,乳頭筋の明らかな異常はなく僧帽弁逆流は軽度であった.
CT検査及びMRI検査では左室側壁の基部側に左室と瘤の交通を疑うjetを認めたが,中部の交通は指摘できなかった.心臓カテーテル検査にて左回旋枝Seg.13に閉塞あり,右冠動脈及び左前下行枝に高度狭窄を認めた.左室造影では左室と瘤の交通部位は描出不良であった.
準緊急で左室仮性瘤切除と僧帽弁置換術を施行され,術中所見では左室後壁に2ヶ所の欠損孔を認めた.経胸壁心エコー検査のみで2ヶ所の交通を指摘でき,CT検査とMRI検査の情報と併せて,手術前に有用な情報が得られた.