Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 循環器
症例 弁膜症その他

(S610)

巨大Valsalva動脈瘤の一例

Huge Un-ruptured Aneurysm of the Sinus of Valsalva in Elderly patient

大藪 謙次郎, 新井 光太郎, 齋藤 千紘, 谷野 紗恵, 高野 真弓, 芦原 京美, 上部 一彦, 新波 博, 萩原 誠久

Kenjiro OYABU, Kotaro ARAI, Chihiro SAITO, Sae TANINO, Mayu TAKANO, Kyomi ASHIHARA, Kazuhiko UWABE, Hiroshi NIINAMI, Nobuhisa HAGIWARA

1東京女子医科大学循環器内科, 2東京女子医科大学心臓血管外科

1Cardiology, Tokyo Women‘s Medical University, 2CardiovascularSurgery, Tokyo Women‘s Medical University

キーワード :

【症例】
78歳男性.
【経過と所見】
9年前消化器疾患手術前検査で心臓内に最大径4.0×3.2cmの腫瘤像を認め心臓手術を勧められていた.しかし心臓手術は希望せず,その後外来通院も自己中断となっていた.2017年感冒を契機に顔面,両足の浮腫が出現.総合診療科を受診し利尿剤投与で症状は改善した.経胸壁心エコーでは無冠動脈洞から心房中隔側に血栓を伴う円形の腫瘤像が認められValsalva動脈瘤が9年間で4.0×3.2cmから6.3×7.2cmに拡大したものと考えられた.造影CTでは無冠尖の嚢状動脈瘤が心房間を後方に突出し両側心房を圧排している所見が認められた.瘤内は一部血栓形成が認められた.冠動脈の狭窄は認めなかった.
【考察】
Valsalva動脈瘤は先天性心疾患の0.1-0.35%と比較的稀な疾患である.男女比は3~4:1と男性に多く平均年齢は45歳と報告されている.原因として先天性および後天性(感染,動脈硬化,外傷など)が挙げられる.発生部位は右冠動脈洞70%,無冠動脈洞25%,左冠動脈洞70%,左冠動脈洞5%で,未破裂であれば症状は出現することは少ない.しかし瘤の拡大方向により右室流出路狭窄,大動脈弁閉鎖不全症,心筋虚血などを併発してくる場合もある.その後瘤による圧排のため房室ブロックが出現した.無冠動脈洞から心房間方向への瘤の突出による圧排のためブロックが出現したと考えられた.手術適応と考えられた.今回Valsalvaの特異な形態と変化を心エコーで観察し得た症例を経験したので報告する.