Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

一般口演 基礎
エラストグラフィ1

(S575)

せん断波エラストグラフィを用いた静脈内留置針のナビゲーションシステム

Navigation system for intravenous indwelling needle using shear wave elastography

LIU Ziheng, 谷内 華菜, 山越 芳樹, 中島 崇仁, 浅尾 高行

Ziheng LIU, Kana TANIUCHI, Yoshiki YAMAKOSHI, Takahito NAKAJIMA, Takayuki ASAO

1群馬大学大学院理工学府, 2群馬大学大学院医学系研究科

1Graduate School of Science and Technology, Gunma University, 2Graduate School of Medicine, Gunma University

キーワード :

【目的】
静脈内への留置針の挿入は安全性の観点からエコーガイド下で行うことが推奨されているが,留置針をBモード画像の支援で正しく静脈内に留置することは難しく,経験が必要になる.これは2次元像であるBモード画像のガイド下で血管の位置を把握しながら3次元的に留置針を挿入しなければならないことに拠っているが,もし2次元的な画像観察で3次元的な針位置が把握できれば,留置針の挿入時に役立つことが期待できる.本稿では留置針に100ミクロン以下の微小振動を加え,留置針から発生するせん断波を可視化することで留置針の3次元的な位置を把握するシステムについて基礎実験を行ったので報告する.
【方法】
蒟蒻とアルファバイオ社製AGL800をファントムとして超音波ガイドにより短軸と長軸で振動振幅100ミクロン以下の微小振動を静脈留置針(22G,24G)に印加しファントムに穿刺した.我々が開発した実時間でせん断波の波面をカラーフロー画像上で観察できるせん断波エラストグラフィ(Color Doppler Sear Wave Imaging: CD SWI)[1]を用いて穿刺過程で留置針から発生するせん断波の波面の変化を観察し,せん断波の伝搬図,速度図,方向図などのを使い3次元的な留置針の位置を画像化した. 留置針自体が加振源になるので留置針の位置ではせん断波の位相進みがなくせん断波の伝播速度が理論的には無限大になることも留置針の位置の特的に活用した.実験に使用した超音波映像装置はEUB 8500(Hitachi)である.
【実験結果】
図(a)は長軸に対する実験の様子である.図(b)は蒟蒻における22Gの留置針を使用した場合のせん断波の伝播図,図(c)は蒟蒻における22Gの留置針を使用した場合のせん断波の速度図である. 図(b)のせん断波は留置針が波源となり伝播し,図(c)の速度図では留置針におけるせん断波の伝播速度が速くなり留置針の可視化が可能であった.
【結論】
長軸画像,短軸画像ともファントム実験により,我々が開発したせん断波エラストグラフィを用いることで留置針の位置の可視化が従来のBモード画像よりも明確にできることを確認した.本方法は留置針自体が超音波映像面上になくてもその位置と映像面までの距離を推定できるので,今後実験を重ね本方法の有効性を明らかにしたい.
[1]山崎他, 第89回日超音医抄録集, 89-基-013, S542(2016).