Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・技を究める 救急エコー
救急エコー 超音波を利用した生理学的異常に対するアプローチ~ABCDを中心に~

(S528)

救急で使える気道エコー

Upper Airway Ultrasound in Acute Care

石田 亮介

Ryosuke ISHIDA

島根県立中央病院救命救急科

Department of Emergency and Critical Care, Shimane Prefectural Central Hospital

キーワード :

救急医療の現場での気道トラブルは生命の維持に直結するため,迅速な評価と対応が必要となる.その中でpoint-of-care ultrasoundが活用できる場面は数多い.
気管切開術は集中治療室で頻繁に行われる手術である.外科的気管切開,経皮的気管切開,ハイブリッド法などの種類があるが,術前に切開部位の決定,血管の有無,気管までの距離,甲状腺などを観察しておくことで施行の安全性が高まる.輪状甲状靭帯穿刺・切開の際は十分な評価をする時間的余裕は通常ないが,正確な穿刺位置の同定は短時間で可能である.
声帯麻痺は特発性あるいは術後合併症などでしばしば見られる疾患であり,喉頭ファイバーによる観察が通常の診断方法となる.超音波でも両側声帯とその動きは観察することができ,侵襲が低いことからスクリーニングに適している.
気道熱傷においては上気道及び下気道粘膜の浮腫を来しうる.気管挿管による確実な気道確保が必要になるが,抜管の判断は難しい.気管支・喉頭ファイバーやリークテストは有力な情報となりうるが,気道エコーでは粘膜の浮腫を直接評価することができ,一つの基準とすることができる.
気道の異常は緊急性を要し,迅速で確実な気道確保を行わねばならず,診断に時間をかける余裕がないことも多い.超音波でできることとできないことを明確にした上で,point-of-care ultrasoundを気道評価方法の一つに加えることでmultimodalな評価が可能になり,救急診療の質と安全性を向上させることができると考える.