Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・技を究める 産科エコー
産科エコー 技を究める:産科エコー

(S508)

胎児診断:心臓以外の部位について

Prenatal diagnosis of fetal diseases excluding congenital heart diseases

尾本 暁子, 新井 聡子, 石井 久美子, 岡山 潤, 井上 万里子, 生水 真紀夫

Akiko OMOTO, Satoko ARAI, Kumiko ISHII, Jun OKAYAMA, Mariko INOUE, Makio SHOZU

千葉大学医学部附属病院周産期母性科

Maternal and Fetal Medicine, Chiba University Hospital

キーワード :

超音波装置の進歩により画像がますます鮮明になり,より小さく・細かく・深部にあるのものまで見えるようになった.出生前に診断が可能な疾患も増加している.当院では,年間約130-180例の胎児診断を行っているが,そのなかでは循環器疾患(先天性心疾患+不整脈)が30―40%と最も多く,他の異常との合併例も少なくない.より早期(22週未満)に診断を行う症例が増加しているのが最近の特徴であり,診断や説明が難しくなってきている.循環器疾患以外の診断のコツを以下に挙げる.
① 正常所見を熟知しておく.発育にともなって変化することも念頭におく.
② 超音波診断装置の原理を理解すること.これにより,診断に適した画像を作ることができる.アーチファクトの発生メカニズムを知ることは,アーチファクトを避けた画像を作ることにがる.
③ 陽性所見を直接観察することが困難な時には,間接的な所見を積み重ねて推定する.病変と正常との境界が不明瞭なときには,血管走行を観察することがヒントとなる.
④ 新生児疾患には,複数の症候を併せ持つ疾患群が多い.一つの異常所見があった場合,症候群を念頭において可能性のある臓器の観察を行う.症候群そのものを知っておく必要がある.
⑤ 異常を発見した際に,その異常の診断に気を取られて他の合併異常の存在を見逃しがちになる.これを防ぐために,最初に自分のルーチンに添ったスクリーニングを行い,異常を疑う所見が得られた場合でも詳細な観察は後回しにしてスクリーニングを続けるよう心がける.
⑥ 診断が難しい症例こそ,診断力をつけることにがる.画像を記録し,できれば複数の医師に意見を求める.他者との振り返りは,自らの診断上の弱点を見つけることにがる.
⑦ 時間や日数をおいた再検査が診断に有用な情報を与えることがある.より適切な画像がえられることもある.また,症候の変化が予後予測に役立つことがある.
講演では,代表的な疾患をあげて説明する.