英文誌(2004-)
特別プログラム・知を究める 運動器
シンポジウム 運動器1 はじめの一歩~運動器の超音波解剖~
(S467)
末梢神経を超音波でみる
Ultrasonographic images of peripheral nerves
鈴江 直人
Naoto SUZUE
徳島赤十字病院整形外科
Department of Orthopedics, Tokushima Red Cross Hospital
キーワード :
【背景】
末梢神経は運動器疾患を扱う整形外科医にとって2つの側面を持つ.1つは末梢神経そのものが治療対象として,そしてもう1つは四肢に対して手術などの侵襲を加える際の麻酔の対象としてである.
治療対象となる場合は,頸椎や腰椎での椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫,肘部管症候群,手根管症候群,足根管症候群のような狭窄性神経障害などである.一方で神経ブロックによる麻酔については,従来は盲目的に神経周囲に麻酔薬を注入しての浸潤麻酔や,絶縁電極注射針を用いて電気刺激を加えて神経を同定する麻酔が行われてきた.
しかし超音波機器が発達し,末梢神経を初めとする運動器が非常に見やすくなった現在,神経障害の診断や神経ブロックにおいて超音波は無くてはならないものになってきている.
【目的】
末梢神経疾患の診断や治療,また神経ブロックを行う上で必要な末梢神経の超音波解剖を紹介する.
【頚部】
頚部神経根はそれぞれの椎体間から出た後は腕神経叢を形成していく.椎体レベルでは横突起の前結節,後結節の形状からレベルの同定が可能であり,鎖骨上レベルではそれぞれが神経幹を形成しているのが観察できる.
【上肢】
腋窩で上腕動脈周囲に観察できる橈骨神経,尺骨神経,正中神経を末梢まで追っていく.それぞれの走行の特徴を紹介する.狭窄性障害を受けやすい肘部管,手根管の構造については特に注目する必要がある.
【下肢】
股関節から大腿前方に位置する大腿神経,その枝である伏在神経,また後方に位置する坐骨神経が脛骨神経と総腓骨神経に分岐していく走行を紹介する.