Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 血管
パネルディスカッション 血管1 血管エコーのスタッフ育成:私達はこうしています

(S462)

血管エコーの歴史から観る

Historical overview of vascular ultrasound

松尾 汎

Hiroshi MATSUO

医療法人松尾クリニック

Matsuo Medical Clinic

キーワード :

【血管エコーの創生】
血管エコーの歴史は決して古くはなく,約25年前頃で,血管領域でのエコーの応用は,「ドプラ法」をABPIの測定と下肢静脈瘤診断が始まりである.それから,大動脈をBモード断層法で観察するようになり,腹部大動脈瘤の瘤径拡大に関する発表(1988)や大動脈解離への応用(1990),そして現在最も関心の高い深部静脈血栓の診断(1992)に応用を開始した.
【血管エコーの認知】
日本超音波医学会が初めて血管エコー検査を認知したのは,鹿児島で開催された「第一回血管エコーフォーラム」2003年(平成15年)の開催からである.血管領域の諸先生方が鹿児島に参集し,方向性が確認された.それから,日本超音波医学会地方会は勿論,心エコーのメッカである「エコーライブ大阪」(現:The Echo Live),さらに腹部エコー関連の「大阪超音波研究会」などのメジャーの研究会・講習会にも「血管エコー」の分野が採用され,2010年から心エコーと血管エコーのコラボレーションの象徴である「エコー淡路」が開催され,継続している.
【コメディカル教育の歴史】
2000年頃から,血管無侵襲診断セミナーを開始して,血管エコーを中心に無侵襲診断法の啓発を,主に関西の検査技師さん達と共に全国行脚を始めた.多い年は10カ所以上も行脚し,交通費のみ・報酬無しではあったが,啓発の意欲に燃え,継続された.無侵襲セミナーが,2006年に発展的に複数学会認定機構・血管診療技師(Clinical Vascular Technologist: CVT)制度へと移行し,当時,急増する脈管疾患(動脈・静脈・リンパ管疾患)の診療に寄与する医師の育成と共に,それらを支えるコメディカルの育成の必要性から開始された.また日本超音波医学会で認定検査士制度が「血管領域」で開始されたのは2007年度(平成19年度)であり,第23回検査士認定試験(2008年2月3日実施)以後,多くの検査士が認定され,全国で活躍している.
併せて2004年に創刊された専門誌「Vascular Lab誌」(メディカ出版)も啓発・教育に寄与してきた.時代に先駆け過ぎはしたが,血管診療のスタッフ育成に大きな追い風を与えて頂いた.刊行中の10年が血管診療における血管エコー検査の「創世期」であり,やっと最近に完成した全領域(頸動脈,大動脈・末梢動脈,腎動脈,深部静脈血栓症・下肢静脈瘤)の血管エコーの標準化がなされるまでの礎となって頂いたことに感謝する.