Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 血管
シンポジウム 血管2 深部静脈血栓症診療にエコーをどう活かすか

(S448)

深部静脈血栓症診療に超音波検査をどう活かすか:他のモダリティーとの役割分担

How to make use of ultrasound examination for diagnosis and treatment of deep vein thrombosis : division of roles with other modalities

坂東 美佳, 山田 博胤, 楠瀬 賢也, 西條 良仁, 西尾 進, 佐田 政隆, 西上 和宏

Mika BANDO, Hirotsugu YAMADA, Kenya KUSUNOSE, Yoshihito SAIJO, Susumu NISHIO, Masataka SATA, Kazuhiro NISHIGAMI

1徳島大学大学院医歯薬学研究部地域循環器内科学, 2徳島大学病院循環器内科, 3徳島大学病院超音波センター, 4御幸病院LTAC心不全センター

1Community Medicine of Cardiology, Tokushima University Graduate School of Biomedical Science, 2Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital, 3Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital, 4Long-Term Acute Care Heart Failure Center, Miyuki Hospital

キーワード :

肺血栓塞栓症(pulmonary embolism ; PE)は急性冠症候群,急性大動脈解離と並んで胸痛を主訴とした見逃してはいけない致死的疾患である.多くは深部静脈血栓症(deep vein thrombosis ; DVT)を塞栓源として発症しており,その90%以上が下肢の深部静脈血栓症が塞栓源とされている.下肢の浮腫や突然の呼吸困難といった深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症の可能性が考えられる病態の診療において,症状や所見のみでは診断は困難であるため,血液検査で得られるDダイマー値や危険因子や症状所見から点数化するWellsスコアが非侵襲的な除外診断ツールとして有用と考えられている.問診や診察で急性期の疑いが強い場合には直接かつ迅速に確定診断が可能である画像検査を速やかに施行しなければならない.その第一選択として,コンセンサスが得られているツールが超音波検査である.リニアプローブの性能が向上したこと,超音波診断装置が急速に発展したことを背景に血管超音波検査は広く普及している.その利点として,非侵襲的,簡便かつ安価であり,時間分解能に優れており,ベッドサイドでも繰り返し実施可能であるといったことが挙げられる.下肢静脈超音波検査に関して,超音波検査が困難な場合や胸腹部に血栓の存在が疑われる場合では造影CTまたはMR venography(MRV)を用いるが,放射線被爆,腎障害のリスクがあることや時間を要するといったデメリットが存在する.また,以前は多く用いられていた静脈造影に関しては現在でも信頼性の高い確定診断となる検査ではあるが,その侵襲性の高さから他の画像検査で診断できない場合,主に慢性期の下腿静脈の評価には有用とされ,最終的な除外診断法としての意義が大きい.以上より,深部静脈血栓症を疑う際にはまず静脈超音波検査を行い,肺血栓塞栓症の合併を疑う場合には引き続き経胸壁心臓超音波検査を行う流れが最も一般的と考えられる.静脈超音波検査を施行する際の基本的アプローチには,(1)血栓の存在を判定,(2)血栓の性状を確認することで病期を判定(急性期・慢性期),(3)血栓の範囲を評価することで病型を判定(腸骨型,大腿型,下腿型),(4)血栓の中枢端を確認することで塞栓源としての安定性を判定(安定性,不安定性)する.基本は断層法を用いるが,血栓の有無といった詳細な評価にはカラードプラ法が不可欠である.また,静脈超音波検査によって血栓の安定性を評価することは,下大静脈フィルターの適応を決定するうえでも有益である.さらに,抗凝固療法による治療効果判定においても,血栓の退縮や器質化の過程を繰り返し観察することが可能である.
以上より,超音波検査は,深部静脈血栓症の診療において,第一選択となる診断ツールである.今回,深部静脈血栓症の診療において,各種モダリティーの長所と短所を踏まえた上で静脈および心臓超音波検査を有効に用いるためにはどのようにすれば良いかについてディスカッションできればと考える.