Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 甲状腺
シンポジウム 甲状腺2 甲状腺腫瘤(結節)についての超音波診断基準改訂について

(S414)

甲状腺結節超音波診断基準としての縦横比の有用性について

The Availability of a Taller-Than-Wide Shape to Predict Thyroid Cancer

中野 賢英, 福成 信博, 坂上 聡志, 西川 徹, 相田 貞継

Masahide NAKANO, Nobuhiro FUKUNARI, Satoshi SAKAUE, Toru NISHIKAWA, Sadatsugu AIDA

昭和大学横浜市北部病院外科系診療センター外科

Department of Surgery, Showa University School of Medicine, Northern Yokohama Hospital

キーワード :

甲状腺結節(腫瘤)超音波診断基準は,原型が平成3年作成されてから複数回の改訂を経て四半世紀が経過し,現在最新の改訂作業が進んでいる.甲状腺結節の縦横比は,ATA,ETA/AACE/AME,KSTRなどのガイドラインにおいて悪性を疑う所見として明記されているが,本邦の診断基準では記載されていなかった.今回の改訂にあたり,縦横比についての項目を追加することが日本乳腺甲状腺超音波学会(JABTS)のワークショップで検討されており,現在本邦でのdataの収集及び解析に努めているところである.
 甲状腺結節の縦横比について,これまでの報告では主にTaller than wideと表記され縦横比>1を目安とされている.その特異度は90%前後と非常に高い結果となっているが,感度は30-80%とばらつきがあり腫瘍の大きさにより異なるとも言われている.しかし,比較的簡便に測定可能であり客観的な指標である縦横比は,他の項目と比較してもその有用性は遜色ないものであり,検者の主観が入らないという点ではより有益なものである可能性もある.このような背景を踏まえて,JABTS 37では各施設から報告された合わせて2000例以上の結節を検討し,縦横比は有意に悪性腫瘍で大きいことが示された.我々の施設においても,縦横比はp<0.01と有意に悪性腫瘍で大きく,縦横比>1をCut-off値とした際,感度31%,特異度84%と,これまでの報告と同様にその診断能は高かった.また,ROC曲線を作成しAUCが最大となるCut-off値を求めたところ,縦横比>0.79とした際に感度62%,特異度54%となる興味深い結果も得られた.縦横比>1とした場合,診断能への信頼性は高いが,スクリーニング検査の指標としては感度の低さが難点であり,測定方法の統一化,Cut-off値の検討,その他の要因との関連など,検討すべき課題が残っている.次回開催されるJABTS 40では,上記の課題について各施設が再検討し報告することとなっており,より信頼性の高い研究となるよう改善を図る予定である.今後さらに多数の症例を統一した基準で検討し,本邦における研究成果として報告することで,ガイドラインに縦横比についての項目を追加する根拠の一つとしたいと考えている.
今回の特別プログラムでは,現在我々が多施設共同で進めている研究の経過について,これまでの縦横比に関する知見及び,各国の甲状腺結節診療におけるガイドラインと合わせて報告する.