Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 小児
シンポジウム 小児2 小児腎・尿路感染症と尿路奇形の超音波診断

(S378)

小児嚢胞性腎疾患

Cystic renal disease in children

宮坂 実木子

Mikiko MIYASAKA

国立成育医療研究センター放射線診療部

Radiology, National Center for Child Health and Development

キーワード :

 小児嚢胞性腎疾患の診断のきっかけは,胎児超音波検査によるスクリーニング,奇形症候群や家族歴のある患児の腹部精査,尿路感染症,血尿,腹部腫瘤などさまざまである.小児は,低侵襲である超音波検査が第1選択となることが多く,嚢胞性腎疾患の初期診断,フォローアップに用いられる.
 嚢胞性腎疾患は,非遺伝性と遺伝性疾患の2つに大別される.非遺伝性の嚢胞性疾患として最も頻度が高いのは,多嚢胞性腎異形成(multicystic dysplastic kidney: MCDK)である.代表的な遺伝性嚢胞性腎疾患は,常染色体劣性多発性嚢胞腎(autosomal-recessive polycystic kidney disease: ARPKD)と常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal-dominant polycystic kidney disease: ADPKD)である.遺伝性嚢胞性疾患は,繊毛病のひとつと考えられている.嚢胞性腎疾患の診断は,臨床症状,家族歴,超音波所見などを考慮して総合的に行われる.超音波検査を行う時に,注意すべきポイントとしては,腎のサイズ,皮質・髄質の輝度,皮髄境界の不明瞭化の有無,嚢胞のサイズ・位置・数,両側性か片側性か,腎以外の臓器の合併奇形の有無などである.
 MCDKは,異形成腎の特殊型であり,胎児期早期の尿路の閉塞が原因とされる.超音波所見は,嚢胞間に交通のないぶどうの房状の嚢胞の集簇を示し,正常な実質は認めず,カラードプラで血流低下ないしは欠損を示す.遺伝性の嚢胞性腎疾患として代表的なARPKDとADPKDは,近年,原因となる遺伝子が解明され,ARPKDは,PKHD1,ADPKDは,PKD1,PKD2とされる.ARPKDの超音波所見は,腎腫大,実質輝度の上昇,皮髄境界の不明瞭化を示し,嚢胞は主に髄質中心に小さな嚢胞が存在する.同時に,肝線維化を示す門脈周囲の高輝度や門脈周囲の胆管の拡張(Caroli病)の所見を認める.ADPKDは,腎のサイズは正常ないしは若干大きめであるほかは,出生時に嚢胞を認めることは少なく,学童期後半に発見されることが多い.そして,年齢が経過するにつれて嚢胞の数,大きさが増加する.嚢胞は,皮質,髄質ともに認められ,サイズは様々である.肝,膵にも嚢胞を認めることがある.両腎それぞれに3個以上の嚢胞の存在が診断基準に含まれている.これらの嚢胞の観察は,小児では,高周波探触子が有用である.
 今回のシンポジウムでは,代表的な小児嚢胞性腎疾患であるMCDK,ARPKD,ADPKDの特徴的な超音波所見を中心に報告する.