Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 産婦人科
パネルディスカッション 産婦人科2 胎児心エコーとカラードプラ

(S364)

先天性心疾患に対する妊娠初期スクリーニングとカラードプラの役割

Ultrasound screening for congenital heart defect at first trimester and the role of color Doppler at first trimester

德中 真由美, 松岡 隆, 瀧田 寛子, 新垣 達也, 大場 智洋, 仲村 将光, 関沢 明彦

Mayumi TOKUNAKA, Ryu MATSUOKA, Hiroko TAKITA, Tatsuya ARAKAKI, Tomohiro OBA, Masamitsu NAKAMURA, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学医学部産婦人科学講座

Department of Obstetrics and Gynecology, Showa University School of Medicine

キーワード :

【目的】
妊娠初期の胎児心エコー検査は先天性心疾患(Congenital heart defect: CHD)の出生前診断精度向上に寄与しているのかを調査する.
【方法】
2012年1月 から2017年2月に,出生までにCHDと診断された症例について,妊娠初期11-13週でのfirst trimester screening(1stTS)及び18-20週でのsecond trimester screening(2ndTS)超音波検査によるCHD検出成績を後方視的に検討した.1stTSでは四腔断面をB modeを用いて観察し,2ndTSでは四腔断面と流入出路観察をB modeおよびcolor Dopplerを用いて観察した.また,1stTSでも症例によってはcolor Dopplerを用いて心臓形態を評価した.
【成績】
対象単胎5015例中,CHD が45症例(0.9%)あった.1stTSでスクリーニング陽性16症例中,9例はCHDと診断された後妊娠中断,5例は胎児死亡,1例は妊娠継続し出生後に確定診断に至り,1例は偽陽性であった.1stTSスクリーニング陽性16症例中15症例で四腔断面異常により異常が抽出された. 流出路異常を4例で認め,そのうち3例では四腔断面異常も呈していた.なお,偽陽性を除く15症例すべてに胎児水腫を含むNT肥厚を認めた.2ndTSでスクリーニング陽性の17例はすべてCHDの確定診断となった.12/17例に流出路異常を認めた.偽陰性は13例あり,そのほとんどが心室中隔欠損症例であった.胎児期CHD診断率は71%で,また胎児診断症例の47%を1stTSで抽出していた.2ndTSでCHDと診断した17例では1stSTで四腔断面異常を指摘されず, 2ndTSでは四腔断面もしくは流出路異常や異常血流により検出されていた.1stTS時にcolor Doppler併用で評価,またB mode/color Dopplerでの評価方法を見直すことにより,1stTSでスクリーニング陽性と抽出できた可能性があった.
【結論】
胎児期CHDの診断および病型評価は中期以降であることは疑いがない.しかし初期でもB modeによるスクリーニングは十分有用であることが示唆された.また初期にcolor Doppler法を加えることで流出路異常を伴うCHD検出も可能になると考えられた.