Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 産婦人科
パネルディスカッション 産婦人科1 子宮頸管長計測の意義を問い直す

(S361)

妊娠中における経時的子宮頸管長計測の臨床的意義

The clinical significance of longitudinal measurements of uterine cervical length in pregnancy

吉里 俊幸, 堀之内 崇士, 上妻 友隆, 品川 貴章, 横峯 正人, 牛嶋 公生

Toshiyuki YOSHIZATO, Takashi HORINOUCHI, Yutaka KOZUMA, Takaaki SHINAGAWA, Masato YOKOMINE, Kimio USHIJIMA

久留米大学医学部産科婦人科学講座

Department of Obstetrics and Gynecology, School of Medicine, Kurume University

キーワード :

【緒言】
子宮頸管長(CL)は,経腟超音波断層法を用いて計測し,外子宮口から頸管に沿ってその終点までの距離とした.
【方法と結果】

1.単胎妊娠における妊娠の進行に伴うCLの変化
対象は,単胎妊娠で妊娠16-35週にCLを2-4週毎に計測し,31週未満でCL短縮(<25mm)を認めた39例(CL短縮群)とCL短縮を認めなかった75例(C群)である.CL短縮群は26週未満でCL<25mmとなった20例(E群)と26週以降で<25mmとなった19例(L群)にわけた.3群間で,医療介入(頸管縫縮術,経静脈的子宮収縮抑制剤投与),早産(36週未満)の有無を検討した.医療介入は,頸管縫縮術施行はE群:14/20例(70.0%),子宮収縮抑制はE群:7/20例(35.0%),L群:6/19例(31.6%)であった.早産はS群:1/20例(5.0%),L群:1/19例(5.3%),C群:0/75例(0.0%)であった.
2.切迫早産症例のCLの変化
対象は,単胎妊娠で妊娠16-35週にCLを2-4週毎に計測し,36週未満で切迫早産(TPL)に至った23例(TPL群)とTPLに至らなかった45例(non-TPL群)である.TPLは,安静下の胎児心拍数陣痛図で30秒以上持続する子宮収縮を30分間で4回以上を認めた場合とした.両群において,始めてCL<25mmおよび<15mmとなった時期,CL<25mmから<15mmまでの期間,TPL群でTPLと診断された週数を検討した.CL<25mm/<15mmの時期は,TPL群ではnon-TPL群より早期に出現した[TPL群:25(18-33):中央値(範囲)/28(25-30)週 vs. non-TPL群:27(20-30)/33(26-35)週](P=0.03/P<0.001).CL<25mmから<15mmの期間は,TPL群ではnon-TPL群より短かった[TPL群:2.5(0-15)週 vs. non-TPL群:5.5(0-13)週](P=0.034).TPL群における診断時CLは13(7-18)mmであった.
3.CLと分娩進行との関連
対象は課題1の114例の中で,妊娠36週以降に自然経腟分娩に至った症例78例(E群:17例,L群:14例,C群:47例)である.分娩第1期活動期における分娩進行速度をパルトグラムを元に頸管開大5cmから全開大までの速度(cm/hr)で表し,各群間で比較した.初産症例の分娩進行速度はE群,L群はC群より高値であった[E群:5.0±1.6(平均±SEM)cm/hr vs. L群:5.1±1.5cm/hr vs. C群:1.9±0.3cm/hr](P<0.05).経産では3群間で有意差は認めなかった.
【結論】

1.妊娠31週未満とりわけ26週未満でのCL短縮(<25mm)症例は早産予防のための医療介入を必要とすること,2.切迫早産症例では,CL短縮が妊娠のより早期and/or急速に進行し,CLが平均13mm未満になると子宮収縮が増大すること,3.初産婦で妊娠31週未満のCL短縮症例は,急産に至る可能性が高いことがわかった.