Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 産婦人科
シンポジウム 産婦人科2 子宮病変

(S353)

子宮頸癌および体癌におけるSuperb Microvasclar Imagingによる血流評価の有用性

The efficiency of Superb Microvascular Imaging in cervical and endometrial cancer

鈴木 徹平, 上野 琢史, 山田 拓馬, 竹田 健彦, 田野 翔, 宇野 枢, 鵜飼 真由, 原田 統子, 岸上 靖幸, 小口 秀紀

Teppei SUZUKI, Takuji UENO, Takuma YAMADA, Takehiko TAKEDA, Sho TANO, Kaname UNO, Mayu UKAI, Toko HARATA, Yasuyuki KISHIGAMI, Hidenori OGUCHI

トヨタ記念病院産婦人科

The department of obstetrics and gynecology, TOYOTA memorial hospital

キーワード :

【緒言】
Superb Microvascular Imaging(SMI)は従来検出困難であった低流速の血流を明瞭に可視化する優れた血流表示法である.モーションアーチファクトの影響を最小限に抑えながら微細な血流を評価できる方法とされ,現在様々な病変に対して応用が試みられているが,婦人科領域ではSMIの有効性を示した報告は少ない.
【目的】
今回我々は子宮頸癌および子宮体癌におけるSMIの有用性について検討した.
【対象と方法】
2015年9月から2017年1月までの間に当院で診察した子宮頸癌14例,子宮体癌27例を対象とし,TOSHIBA Aplio300または500でSMIにより腫瘍の血流を評価した.子宮頸癌は,治療前後および再発時の血流を評価した.子宮体癌は,Color Doppler Imaging(CDI),Advanced Dynamic Flow(ADF),Power Doppler Imaging(PDI),monochrome SMI(mSMI),color-coded SMI(cSMI)による病変の血流描出を比較した.
【結果】
子宮頸癌14症例の平均年齢は52.6歳で,扁平上皮癌が10例,腺癌が2例,小細胞癌が1例,未分化癌が1例であった.10例は初回治療前に,2例は再発病変に対して評価を行った.また4例は化学療法前後の変化を観察した.初回治療前の評価では,CDI,PDI,ADFでも腫瘍内に血流を認めたが,SMIでは腫瘍内の樹枝状血管をより明瞭に描出可能であった.再発症例中の1例ではSMIによる詳細な血流評価が,周囲組織への浸潤,手術の可否の判断に有用であった.また,化学療法前後に評価した4例では,化学療法後に腫瘍内の血流が著明に減少しており,縮小した腫瘍病変の境界が明瞭に描出できた.子宮体癌27症例の平均年齢は57.8歳で,類内膜癌が24例であった.CDI,ADF,PDI,mSMI,cSMIにおける血流描出率は63%,66.6%,88.9%,88.9%,88.9%で,その中で微細な血流を評価できた症例は18.5%,18.5%,51.9%,70.3%,59.3%であった.SMIでは他の血流評価法に比較して血管のブルーミングが極端に少なく,より微細な血管走行を描出できた.
【結論】
SMIによる詳細な血流評価は,子宮頸癌および子宮体癌において,診断や治療効果の判定に有用である可能性が示唆された.