Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 産婦人科
シンポジウム 産婦人科2 子宮病変

(S352)

子宮性不妊への外科的介入と子宮内膜血流impedanceによる妊孕能評価法の開発

The surgical intervention for uterine factor infertility and the development of a fertility evaluation with uterine blood flow impedance

太田 邦明, 高橋 俊文, 菅沼 亮太, 鈴木 聡, 藤森 敬也, 水沼 英樹

Kuniaki OTA, Toshifumi TAKAHASHI, Ryota SUGANUMA, Satoshi SUZUKI, Keiya FUJIMORI, Hideki MIZUNUMA

1福島県立医科大学産婦人科学講座, 2福島県立医科大学医学部ふくしま子ども・女性医療支援センター

1Department of Obstetrics and Gynecology, School of Medicine, Fukushima Medical University, 2Fukushima Medical Center for Children and Women, School of Medicine, Fukushima Medical University

キーワード :

 1989年にGonenらは,体外受精治療周期の治療成績と子宮内膜の関連を検討した結果,妊娠群では非妊娠群より子宮内膜が有意に厚いと報告した.このGonenらの報告は,生殖医療に経腟超音波が導入された時期と重なっており,経腟超音波断層検査による子宮内膜の詳細な観察が可能であることを証明した.それ以降,生殖医療における経腟超音波断層検査を用いた研究は,子宮内膜厚の計測にとどまらず,子宮動脈の血流波形計測や子宮筋層内に分布する血管の血流波形計測に関する研究へと発展してきた.子宮内膜血流は子宮内膜の厚さと相関することが想定されるが,着床・妊娠に必要な子宮内膜の血流動態は未だに解明されていない.子宮内膜は月経周期によってその厚さのみならず質的な変化を起こし受精卵を着床させる.子宮内膜は,排卵前には卵巣からのエストロゲンの作用により子宮内膜組織が増殖し子宮内膜の厚さを増加させる.排卵後は黄体ホルモンの作用により受精卵を受け入れる状態へと質的な変化を起こす(Implantation Window:着床の窓).子宮内膜はこれまで我々のデータでは子宮内膜への血流を反映する放射状動脈のImpedanceはImplantation Windowの時期に有意に上昇することが判ってきた,このことは同時期における血流量の増加が着床に必要であるという仮説の基盤となりうるものである.一方,子宮筋腫は女性の妊孕性に影響を与えることが知られている.子宮筋腫による妊孕性低下の機序の一つとして,子宮内圧の上昇や筋腫を介した子宮内膜への血流供給の減少の関与が考えられている.子宮内膜への血流の減少は,子宮内膜を菲薄化させ着床に必要な分子機構にも変化を与える可能性がある.子宮筋腫核出術後に妊孕性が向上することが多くの観察研究で明らかにされているが,現在その機序の詳細は不明である.また,妊娠後の子宮破裂を防ぐ意味で,妊娠許可は筋腫核出後の筋層治癒が一般的には見込まれる3〜6ヶ月とされているが,そのエビデンスは乏しく,妊娠許可や術後妊孕能を示すパラメータは存在しない.我々は,子宮筋腫核出前後の子宮内膜血流波形に関して検討を行い,子宮内膜血流が術前後で変化することを明らかにした.さらに,子宮筋腫核出術の術式の工夫とUterine blood flow impedanceをパラメーターとした新たな妊孕能評価法と妊娠までの管理方法についても言及したい.