Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 消化器
シンポジウム 消化器6 肝臓 診断 肝腫瘍の悪性度診断~Bモード・エラスト・Sonazoid造影~

(S308)

肝腫瘍生検による癌関連遺伝子変異解析におけるSonazoid造影の役割

Sonazoid-enhanced ultrasonography improves the quality of mutational analysis in the biopsy of focal liver tumors

恵荘 裕嗣, 高井 淳, 高橋 健, 上田 佳秀, 丸澤 宏之, 妹尾 浩

Yuji ESO, Atsushi TAKAI, Ken TAKAHASHI, Yoshihide UEDA, Hiroyuki MARUSAWA, Hiroshi SENO

京都大学消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Kyoto University

キーワード :

【目的】
Sonazoid造影は肝腫瘍の診断のみならず,肝腫瘍生検およびRFAにおける支援として活用されている.近年の分子標的治療薬の進歩や,当院における癌関連遺伝子変異解析に基づく治療薬候補情報提供サービス(Oncoprime)の導入に伴い,治療薬選択のための肝腫瘍生検の依頼件数が増加するともに,質の高い組織採取が求められている.以前我々は,肝腫瘍生検における病理組織診断のquality向上におけるSonazoid造影の積極的併用の有用性を示したが(Eso Y et al. Eur J Gastroenterol Hepatol 2016;28:1472-7.),今回は肝腫瘍生検による遺伝子変異解析におけるSonazoid造影の役割につき検討した.
【方法】
2014年以降に当院で遺伝子変異または染色体異常の解析を目的に超音波ガイド下に肝腫瘍生検を行った19例19結節(平均径24.5mm)を後方視的に検討した.生検組織は遺伝子変異または染色体異常の解析用,および病理組織診断用にそれぞれ採取し,各々の結果を検討した.
【成績】
3結節はB-modeガイド下に,16結節はSonazoid造影ガイド下に生検が行われた.B-mode群では2/3結節(66.7%),Sonazoid群では12/16結節(75.0%)が明確な病理組織診断が得られた.遺伝子変異または染色体異常の解析を目的とした解析ではB-mode群では2/3結節(66.7%),Sonazoid群では15/16結節(93.8%)に有意な遺伝子変異または染色体異常が検出された.
【結論】
当院では生検組織診断のquality向上におけるSonazoid造影の有用性が判明して以降,Sonazoid造影を深部病変以外では既に積極的に併用しており,本検討のみではB-mode群とSonazoid群の比較は困難だが,遺伝子変異解析を目的とした肝腫瘍生検では病理診断目的の場合と異なり,非腫瘍部の少ない癌細胞を多く含む組織採取が求められるため,Sonazoid造影の積極的併用が推奨される.