大倉 宏之, 中田 康紀, 野木 真紀, 石原 里美, 岡山 悟志, 水野 麗子, 藤本 眞一, 斎藤 能彦

Hiroyuki OKURA, Yasuki NAKADA, Maki NOGI, Satomi ISHIHARA, Satoshi OKAYAMA, Reiko MIZUNO, Shinichi FUJIMOTO, Yoshihiko SAITO

¹奈良県立医科大学循環器内科, ²奈良県立医科大学中央検査部, ³奈良県立医科大学教育開発センター

¹Cardiovascular Medicine, Nara Medical University, ²Central Clinical Laboratory, Nara Medical University, ³Center for Education Development, Nara Medical University

キーワード :

【背景】
高齢化社会となり心臓超音波を受ける患者に占める高齢者，超高齢者の割合が多くなってきた．循環器領域における高齢者の特徴の一つに心血管の石灰化があげられる．僧帽弁輪石灰化（MAC）は脳梗塞や非リウマチ性僧帽弁膜症の原因となりうる．
【目的】
本研究の目的は高齢者（75歳以上），超高齢者（90歳以上）におけるMACの頻度と弁膜症との関連について明らかにすることである．
【方法】
2015年5月から2017年12月の間に当院で心エコー図検査を行った13,480例を対象とした．対象例を検査時の年齢により，非高齢者（＜75歳），高齢者（75-89歳），超高齢者（≥90歳）に分類し，MACの頻度，MAC例中の僧帽弁膜症の頻度を比較検討した．
【結果】
非高齢者（n=8,476），高齢者（n=4,776），超高齢者（n=222）におけるMACの頻度はそれぞれ，7.9％, 23.5％, 39.6％であった（P＜0.01）．MAC例（n=1,881）における大動脈狭窄，大動脈弁逆流，僧帽弁逆流の頻度は高齢者，超高齢者で高かった．一方，僧帽弁狭窄の頻度には差を認めなかった（表）．
【結語】
心エコー図検査を受ける超高齢者には高率にMACを認め，さらにその約20％に大動脈狭窄や僧帽弁逆流を合併していた．