Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 循環器
シンポジウム 循環器3 超高齢化社会における心臓超音波検査の役割

(S251)

左室・左房機能の心エコー図評価は高齢者大動脈弁狭窄術後の症状出現予測に有用か?

Is Evaluation of Left Ventricular and Atrial Function Useful for Prediction of Postoperative Symptom in Senile Patients With Severe Aortic Stenosis ?

森本 順子, 穂積 健之, 太田 慎吾, 竹本 和司, 久保 隆史, 田中 篤, 西村 好晴, 赤阪 隆史

Junko MORIMOTO, Takeshi HOZUMI, Shingo OTA, Kazushi TAKEMOTO, Takashi KUBO, Atsushi TANAKA, Yoshiharu NISHIMURA, Takashi AKASAKA

1和歌山県立医科大学循環器内科, 2和歌山県立医科大学心臓血管外科

1Cardiovascular Medicine, Wakayama Medical University, 2Cardiovascular Surgery, Wakayama Medical University

キーワード :

【目的】
超高齢社会において,大動脈弁狭窄(AS)に遭遇する機会は増加し,その管理方針を検討する上で,心エコー図の重要性は極めて大きい.高度AS例では,有症状であれば大動脈弁置換術(AVR)が推奨されるが,AVR施行後でも症状がみられる症例が存在し,AVR後の約半数が有症状との報告もみられる.また,AVR施行例中,心筋線維化が高度な場合,術後の症状改善が乏しいとも報告されている.心エコー図で評価される左室拡張障害や左房機能障害は,ASでの心筋線維化に伴う左室拡張末期圧上昇を反映し,その予後予測に有用であるとされる.しかし,術後の症状出現予測についての報告はみられない.今回我々は,高度AS例のAVR後の症状出現予測において,心エコー図による左室および左房機能の評価が有用であるか検討した.
【対象と方法】
対象は,2008年4月1日から2015年3月31日に高度ASに対してAVRを施行された65歳以上の患者で,術後1000日間フォローし得た75症例(年齢75.3±6.7歳,女性 46例)である.対象からの除外基準は,心筋梗塞・冠動脈狭窄合併例,ペースメーカー・リズム例,慢性心房細動例,中等度以上の僧帽弁疾患,心エコー図の画質不良例とした.方法は,術前の左室拡張能,左房機能を含む心エコー図データ,術後1000日間の心不全症状出現に関して,後ろ向きに調査し,術後有症状群,無症状群の2群に分け,比較検討を行った.
【結果】
フォロー期間中,19例(25%)に症状が出現した.左室機能に関しては,EDVI, ESVI, EFでは2群間に有意差は認めなかったが(61.8± 12.8 ml/m2 vs 63.9± 18.9 ml/m2, p=0.66, 26.7± 12.5 ml/m2 vs 28.3± 16.0 ml/m2, p=0.69, 58.1± 12.1% vs 57.7± 11.2%, p=0.89),E/E’とE/Aでは,2群間に有意差が認められた(24.9± 2.5 ml/m2 vs 18.2± 1.5 ml/m2, p=0.02,0.95±0.32 ml/m2 vs 0.72± 0.24 ml/m2, p<0.01).左房機能については,最大・最小左房容量係数(max LAVI・min LAVI)および左房容積変化率(LAEF)で,2群間に有意差が認められた(59.8±14.8 ml/m2 vs 46.8±14.6 ml/m2,44.9±14.6 ml/m2 vs 27.6± 10.8 ml/m2,28.7±12.4 ml/m2 vs 42.0±10.5 ml/m2,各々p<0.01).術後症状出現予測は,1)E/E’≧18.4で,感度72.2%・特異度62.3%(AUC=0.67),2)E/A≧0.76で,感度79.0%・特異度61.1%(AUC=0.72),3)min LAVI≧30ml/m2で,感度は94.1%・特異度は68.0%(AUC=0.84),4)max LAVI≧50ml/m2で,感度84.2%・特異度68.0%(AUC=0.74),5)LAEF≦30%で,感度88.0%・特異度58.3%(AUC=0.80)の精度で診断可能であった.
【結論】
高齢者AS例のAVR後の症状出現予測において,心エコー図による左室・左房機能評価は有用であった.特に左房機能指標は術後の症状出現の予測精度が高く,高齢者ASでのフォローにおいて,重要な指標となりうると考えられる.