Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 基礎
パネルディスカッション 基礎1 IMT計測の自動化と精度管理

(S236)

IMT計測精度の基本

Basic of IMT measurement accuracy

浜田 聡明

Toshiaki HAMADA

キヤノンメディカルシステムズ株式会社営業本部超音波営業部

Ultrasound Systems Sales Dept., CANON MEDICAL SYSTEMS CORPORATION

キーワード :

1.IMT計測
超音波診断装置により計測される総頚動脈内中膜厚(IMT)は,代表的な動脈硬化臨床指標として有用であり,超音波検査において広く用いられている.IMTは,頚動脈長軸像の内膜側の高エコー層と,その外側の高エコー層の間の距離と定義され,遠位壁(far wall)では内腔と内膜の境界が高エコー層の上縁(leading edge)に,中膜と外膜との境界が外側の高エコー層の上縁(leading edge)にそれぞれ一致する.IMT計測を検査者がマニュアルで行う場合,この2つのleading edgeに計測カーソルを配置して,2点間の距離を計測することによって行われる.頚動脈の血管長軸像における複数点のIMTの平均値をmean IMTというが,mean IMTの計測方法としては,検査者が複数の点でマニュアル測定したIMTの平均値を求める方法と,一定の範囲内で2つのleading edgeをそれぞれ自動でトレースし,トレースライン上の複数のサンプル点で測定したIMTの平均値を自動計算する方法がある.
2.IMT計測精度
IMT計測では0.1mm単位の精度が求められるため,計測精度に影響する要因を理解して計測を行うことが重要である.計測精度に影響を与える要因としては,Bモード画質と計測キャリパ精度がある.Bモード画質は,計測対象となる生体の構造をより正確かつ鮮明に表示するために,高空間分解能かつ高コントラスト分解能であることが重要である.一般的には,高周波プローブを使用することで高空間分解能が得られ,THIモードを使用することで高コントラスト分解能が得られる.Aplio iシリーズのiBeam技術では,新高精度・広帯域パルサにより,理想的な波形を送信することが可能なため,内中膜をさらに高空間分解能かつ高コントラスト分解能で表示することができる.また,スライス厚を制御するiDMS技術では,頚動脈の長軸を高スライス分解能で表示することができる.一方で,計測キャリパ精度は,キャリパの表示分解能と検査者に起因する誤差によって決まる.キャリパの表示分解能は,計測対象となるBモード画像の単位距離あたりのピクセル数に依存する.すなわち,画像の表示ピクセル数が多いほど,キャリパの位置を細かく調整することができる.一般的には,表示Depthをできるだけ浅くした方が,1cm辺りのピクセル数が大きくなり,キャリパの位置精度が上がるが,Aplio iシリーズはFull HDモニタを採用し,画像表示エリアを高密度のピクセルで表示しているため,同じ表示Depthでも従来装置に比べて高い位置精度でキャリパを設定することが出来る.
3.Auto-IMT
Auto-IMTは,一定の範囲内で2つのleading edgeをそれぞれ自動でトレースし,トレースライン上の複数のサンプル点で測定したIMTの平均値を自動計測する方法である.マニュアル測定の場合,2つのleading edge間の最短距離を計測するように検査者が目視で計測キャリパを配置するため誤差が生じやすいのに対し,Auto-IMTは各サンプル点において最短距離を自動的に計測するため,検査者起因の誤差は最小化されるが,自動トレースの精度が重要である.