Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2018 - Vol.45

Vol.45 No.Supplement

特別プログラム・知を究める 基礎
シンポジウム 基礎4 血流速度ベクトルを推定する技術でカラードプラを越える

(S220)

高速超音波イメージングによる血球エコー可視化と血流速度ベクトル計測

Visualization of echoes from blood cells and estimation of flow velocity vector using high frame-rate ultrasound

長谷川 英之, 茂澄 倫也

Hideyuki HASEGAWA, Michiya MOZUMI

富山大学大学院理工学研究部

Graduate School of Science and Engineering, University of Toyama

キーワード :

1. 目的
超音波による血流計測は心機能評価や各種臓器の灌流状態の評価などに有用であり,ドプラ法をはじめ様々な手法が用いられている.超音波ビーム方向の流速をカラーで2次元表示するカラードプラ法,低速血流の検出感度が高いパワードプラ法,頸動脈プラーク部の複雑な血流動態を観察できるB-flow法などが広く用いられている.本報告では,高速超音波イメージングを用いて心臓内の複雑な血流動態を観察する手法について述べる.
2. 原理
従来,心臓内の複雑な血流を観察するための手法として,造影剤を導入するechocardiographic particle image velocimetry(E-PIV)法が開発されている.本報告では,高速超音波イメージングにより,造影剤の導入なしに心臓内血流の観察を可能とする[2].球面拡散ビーム送信と受信並列ビーム形成を用いて,1回の超音波送信で1枚の超音波断層像を構築することにより,6250 Hzの高時間分解能で心臓の断層像を得た.
3. 実験結果
図(a)に示すように,心尖アプローチにより心臓からのエコー信号を高速超音波イメージングの原理に基づき収集した.それにより構築した左心室のBモード断層像を図(b)に示す.血球からのエコーは心筋などのエコーに比べて微弱であるため,ドプラ法の場合と同様に,心筋などのクラッタからのエコーを抑圧するフィルタを適用する.その結果が図(c)である.図(c)は駆出期のタイミングであるが,大動脈方向に駆出される血球からのエコーが描出されている.B-flow法においても,血球からのエコーをBモード的に描出しているが,フレームレートを考慮すると,B-flow法における血球エコーの動きは実際の移動速度に対応しない.しかし,高速イメージングにより血球エコーを描出し,その動きを追跡することで,血流速度ベクトルを推定することができる.
4. まとめ
本報告では,心臓内血球からのエコーを高速イメージングにより可視化し,それを追跡することで血流速度ベクトルを推定する手法について述べた.
参考文献
[1]G. R. Hong, G. Pedrizzatti, G. Tonti, et al., J. Am. Coll. Cardiol., vol. 1, pp. 705-717, 2008.
[2]H. Takahashi, H. Hasegawa, and H. Kanai, Jpn. J. Appl. Phys., vol. 53, pp. 07KF08, 2014.