Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 健診・その他
健診・その他

(S696)

福島県におけるエコーハンズオンセミナーの役割-初期研修医エコー研修アンケートから-

Utility of Echo Hands on Seminar for Residents in Fukushima

高野 真澄, 大谷 晃司

Masumi IWAI-TAKANO, Koji OTANI

1福島県立医科大学集中治療部, 2福島県立医科大学医療人育成・支援センター

1Intensive Care Unit, Fukushima Medical University, 2Center for Medical Education and Career Development, Fukushima Medical University

キーワード :

【背景】
福島県では福島県臨床研修病院ネットワーク(18病院)に所属する初期研修医に対する教育体制を充実させるため,福島県臨床研修病院ネットワーク主催の心エコーハンズオンセミナー(H25年より),腹部エコーハンズオンセミナー(H26年より)を開催している.一方,福島県からの奨学金制度を利用した研修医は,2年次研修終了までに100件以上の腹部エコー検査を課しているという背景がある.しかしながら,心エコー・腹部エコーハンズオンセミナー開催による研修医習熟度への関与・有用性は明らかでない.
【目的】
初期研修医に対してアンケート調査を行い,心エコー・腹部エコーハンズオンセミナーへの参加とエコー習熟度との関連,および各研修施設における研修体制との関連について検討すること.
【対象】
福島県臨床研修病院ネットワークに所属する研修医に対して,2016年12月に心エコーおよび腹部エコーに関するハンズオンセミナーへの参加の有無,研修到達度,職場の研修体制についてアンケート調査を行った.アンケート結果から,心エコーおよび腹部エコーハンズオンセミナー開催による研修医習熟度への関与について検討した.
【結果】
アンケート回収率は,全初期研修医75.7%(140/185名),1年次初期研修医75.9%(66/87名),2年次初期研修医75.5%(74/98名)であった.心エコーに関して,1)心セミナー受講歴を有する研修医は受講歴がない研修医に比べ,2年次終了時までに心エコー経験が豊富になる傾向がある(30件以上の経験:52 vs 37%).2)セミナー受講歴を有する研修医は受講歴がない研修医に比べ,2年次終了時までに急性期診断(40 vs 32%)および慢性期病態評価(37 vs 27%)が可能になる研修医が増える傾向がある.3)心エコー検査に関して,研修体制の充実を望む研修医が多く,研修体制が充実している施設に所属している研修医ほど,セミナーへの参加者が多かった(50 vs 34%).一方,腹部エコーに関して,1)2年次終了までに半数が腹部エコー検査100件以上の経験を有し,セミナー受講歴を有する研修医は受講歴がない研修医に比べ,腹部エコー経験が豊富になる傾向があった(30件以上の経験:95 vs 83%).2)セミナー受講歴有無と2年次終了時までに急性期診断(71 vs 72%)および慢性期病態評価(67 vs 63%)が可能になるか否かは関連がなかった.3)現状の研修体制に満足している研修医が多かった.
【結語】
福島県臨床研修病院ネットワークに所属する初期研修医に対して,心エコーおよび腹部エコーに関する研修到達度のアンケート調査を行った.心エコー検査に関して,研修体制の充実を望む研修医が多く,研修体制が充実している施設に所属している研修ほど,セミナーへの参加者が多く,心エコー習熟度が高かった.一方,腹部エコー検査では,セミナーへの参加と心エコー習熟度との関連性は低かったことから,各研修施設における腹部エコー研修体制が整っていると考えられた.